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「韓国市民革命の現場から」~韓国キャンドル集会に学ぶ~

 昨日、大阪PLP会館五階大ホールにて、「韓国市民革命の現場から」という集会に参加してきた。主催は「戦争あかん!ロックアクション」と、「日朝日韓連帯大阪連絡会議(ヨンデネット大阪)」である。
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 集会は13:30開始、主催者あいさつは「戦争あかん!ロックアクション」から、服部良一さん。
 事前解説として在日韓国研究所の金光男(キム カンナム)さんから報告…「一人の負傷者も逮捕者も出さず」公称のべ1700万人(キムさんによれば、実質2千万人)が参加した「キャンドル市民革命」「これは世界史に記録されるもの」と強調された。「キャンドル集会」の特徴として、①開放的で自主的な市民参加を誘導したこと②安心で楽しい集会・デモ空間を開発したこと だそうな。実際、集会・デモには家族づれや若いカップル、果ては「同窓会」のついでに来たとゆうような人が多くいたという…「キャンドル革命」ではなく、「家族革命」や「同窓会革命」と呼ぶ人もいるそうだ。
 また、政治家や政党代表者の発言がなく、自由発言(事前に申し込みは必要)と文化人の「才能寄付」がキャンドル集会の大半であること、2000以上の市民団体によって結成された朴槿恵退陣非常国民行動が主導したこと、「三権」に加えた新しい「市民権力」が誕生し、国家権力を私的利益のために濫用した国政支配と、韓国社会の固執的な腐敗の根である政経癒着にNOを突き付けたということだそうな。「国家権力の私的濫用」問題は、安倍政権の「モリ・カケ問題」と同様の構造でもある。
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 お話しのメインは、韓国参与連帯事務処長(事務処長とは、事務局長みたいなモン)の、安珍傑(アンジンゴル)さんである。韓国の「参与連帯」とは、民衆運動と市民運動が連携する「進歩的市民運動」を展望し、国家の横暴化の阻止、財閥規制に対する市民の介入と実践を通じ、民主主義の基盤を押し固め、誠実な人が人らしく生きることが出来る社会を実現するための、政治的民主主義の実践するために努力する「市民運動団体」である。結成は1994年…すなわち、韓国民主化運動の成果をより発展させるための市民運動団体であると考えればよいだろう。過去、様々な課題…公益通報者保護、落薦・落選運動、F15戦闘機導入反対運動、狂牛病リスクのある米国産牛肉輸入反対運動、韓国軍のイラク・アフガニスタン派兵反対集中行動、ソウル市の生活賃金導入運動、セウォル号惨事の真相究明運動などを手掛けている。事例にあげたとおり、「シングルイシュー」に特化するのではなく、政治・軍事・経済から食の安全まで幅広い。また、現ソウル市長の朴元淳(パクウォンスン)氏は、創設メンバーの一人である。
 講演は安氏が韓国語で1センテンスしゃべると、隣の金さんが日本語に訳してしゃべるという方式であったため、ゆっくりとしたペースで進み、非常に分かりやすかった。

 話はいろいろあるのだが、キャンドル集会が「非暴力」で行われたことについて、安氏自身も昔は、火炎瓶を投げたり、鉄パイプ振り回したりしていたそうなのだが、「過激な」行動は弾圧を呼ぶことを知っている…普通の市民に対して「恥ずかしい」キャンドル集会であってはならないと決めていたそうな。「急進的」な方針が出てきたばあい、それを説得する人が必ずいたということ、決定は「多数決」ではなく、みんなが納得いく方針を採るということ…「民主主義」のルール・作法が徹底されていたわけだ。
 あと、運動が「経済的要求」…特に非正規労働者を正規化せよ!とか、最低賃金を上げろとかいった、「労働運動」で取り上げる課題を取り上げていたことが、やはり日本の市民運動と比べても新鮮だった。なにぶん韓国は「HELL 朝鮮」「HELL コリア」と呼ばれる程、新自由主義政策が徹底して格差が広がり、多くの人が苦しんでいるという現実がある。ご多聞にももれず韓国でも労働運動や学生運動に参加する人の数は減っており、その隙間を市民運動が埋める形をとっている。労働運動が大切、生産活動の70%が賃金労働であり、労働組合との連帯・交流を強化しているということであった。
 また、韓国の運動ということで、「東アジアの非核化に向けて」というテーマもある…北朝鮮の「ミサイル開発」問題が叫ばれる中、THAAD配備反対など、異なる意見を持つ市民もいて複雑な問題がある…ただ、北朝鮮は「祖国」であり、祖国に対する軍事訓練には反対する、北を手助けしないということは、南北関係を解決しないということ、この問題は平和的な方法によってのみ解決できる…との発言には、会場から拍手が起こった。ただ、北朝鮮が対米直接対話を求めているため、南北の対話が遅れるのでは…と言う懸念もあるそうな。
 「キャンドル革命」の結果、朴槿恵が弾劾・打倒されて文在寅政権が誕生した…これまでは「批判・反対」していればよかったのだが、これからは支持したり、中身をみて「批判・反対」しなければいけないので、頭が痛いとのこと。まだ財閥の力は莫大で、大多数は非正規労働者のままである。「キャンドル革命」は終わっていない!とのことであった。

 とにかくいろいろあって書ききれない。会場は200人を超える人が集まっている。この日外気温は38℃にもなったのだが、室内も人が多くて蒸し暑く、扇子や団扇であおいでいる人が沢山見受けられた。

 15時半ごろ、休憩のあと、質問コーナー…沢山の質問をとりまとめ、6つぐらいの項目についての質疑応答となった。最後、ヨンデネットの田村孝二さんから、まとめと閉会のあいさつ…縦軸と横軸で考える。縦軸は歴史の問題、安倍の逆戻りを必死でとめていくこと、横軸は「1国で考えることを乗り越える」韓国の労働者や民衆と連帯すること、明日からまた頑張ろう と締められた。
 参加費1000円でお釣りがかえってくるぐらい、有意義な集会であったと思う。

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