共産党は戦争に反対したのか?
kuronekoさんのブログ記事先の戦争と共産党に触発されて、ちょっと書いてみたもの…はたして日本共産党は、先の戦争に「本当に」反対したのか?反対したから弾圧されたのか?というお話し…
確かに共産党はHPの党紹介では「日本共産党は、侵略戦争に反対をつらぬいた唯一の政党じゃ」と書いてあるし、党綱領には始めのほうに「党は、ロシア革命と中国革命にたいする日本帝国主義の干渉戦争、中国にたいする侵略戦争に反対し、世界とアジアの平和のためにたたかった。」とある。
本ネタ元は展望第6号である。また「先の戦争」がいつ始まったのか、いろいろ議論はあるが、「15年戦争」といわれる元となり、「中国に対する侵略戦争」が本格化した「満州事変」以降とする。
満州事変は1931年9月…それに先立って日本共産党への弾圧が1928年の3月15日(3・15事件)および29年4月16日(4・16事件)が行われ、共産党の大衆的基盤は喪失している。
で、「展望」第6号に寄稿された「日本共産党・32テーゼと全協の〈天皇制打倒〉綱領(雑賀一喜)を見てみる…p140(三)「満州事変」と闘わなかった日本共産党 という小見出しの下、こう書かれている。
28年の3・15事件、29年の4・16事件によって、日本共産党は組織の中枢から影響下にあった大衆団体にいたるまで、ほぼ完璧にたたきのめされてしまった。かろうじて弾圧を免れた数名の党員によって中央部が再建されたが、彼らはいずれも経験に乏しく、理論水準も低かったため、いたずらに革命的情勢の切迫を強調して武装メーデーなど極「左」冒険主義的行動に走り、自滅していった。
とある。
さらにp142には、こうある。
では日本共産党は「満州事変」の勃発に際して、どのような闘いを組織しようとしたのか。機関紙『赤旗』はただちに、この軍事侵略にかけた支配階級の意図を暴露し闘いに立ち上がることを呼びかけた。しかしその内容は「日本帝国主義の現在の領土拡張戦争は、帝国主義列強によるソビエト同盟に対する戦争の前哨である」とし、「ソ同盟擁護のために闘え!」と叫ぶものであった。そこにおいては、土地を奪われ生命の危険にさらされた中国人民と連帯して闘う視点や、出兵に駆り出され膨大な軍事費の負担と軍需生産のための強労働に苦しむ民衆の立場は軽視されている。
そして実際にやったことと言えば、東京では江東地区の80名ばかりの失業者が銀座でデモをやり、いくtかの工場に反戦ビラをまき、東京北部の小さな化学工場と芝浦照会所の現場集会で反戦決議をおこない、その他全国いくつかの地点で戦争に反対するビラや檄を配布し、伝単(ステッカー)を電柱や工場の塀に貼り付けたことぐらいしか確認できない。
とのことである。要は、反戦の理由が「ソビエト同盟(ソ連)の防衛」のためであり、「帝国主義戦争を内乱に」でも「革命的祖国敗北主義」でもなく、また現代における「戦争絶対反対」でもなければ、国益的に「負ける戦争には反対」というものでもなかった。また反戦の行動もほんの限られた一部の行動に過ぎなかったのである。本論は続けて
このように「満州事変」勃発に際して、日本共産党は大衆的反撃を組織することができなかった。その時期の『赤旗』や全協機関紙『労働新聞』の紙面は、日本帝国主義の中国侵略戦争の開始に抗議し反対する闘いよりも、11月7日のロシア革命記念日闘争の成功を訴える記事の方が目立つくらいである。(中略)
日本共産党は〈戦争〉という革命の最大の契機をとらえて日本帝国主義打倒に向けての大衆行動を組織する任務を放棄し、ただ一般的に資本主義に反対する立場に立って、あらかじめ決められたスケジュールにしたがい街頭カンパニアを繰り返し、その延長線上に革命を語るという待機主義的日和見主義に支配されていたのである。
このようにして、「満州事変」に対し日本共産党は”不戦敗”に終始したが、このことあ2年後の大転向時代到来の遠因となった。
「大転向時代」についてはまた別途書くとして、かような体たらくであったのである。この後、共産党指導部は弾圧・解体、再建を繰り返すものの、1935年3月4日に袴田里見が検挙され、中央部は消滅してしまう。よってこの後の日中戦争や、アジア太平洋戦争に組織として反対することなぞ、できなくなってしまうわけだ。
共産党が「弾圧」された理由は、ひとえに「共産主義」を実現するための「革命政党」であったためである…治安維持法は「私有財産の廃止(資本主義の打倒)」と「国体の転覆(革命)」を取り締まっていたわけだから…そして共産党が壊滅した後に、反戦を訴える者を「共産主義者(アカ)」呼ばわりして、治安維持法でもって弾圧したというのが本当のところだ…これが「共産党」=「反戦の党」伝説の下になっているのだと思う。
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