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「開国」すれば金王朝は崩壊する!

 朝鮮半島情勢について…

 「和解」と「平和」への道を歩み始めた朝鮮半島南北両国家…朝鮮と米国の初の首脳会談も6月には開かれる。アメリカ・トランプ政権がどう出てきて、朝鮮の金正恩がどう返すか分からず、道のりはまだまだ険しいだろうが、朝鮮戦争を終わらせ、緊張緩和・朝鮮半島非核化への道筋をつけてもらいたいものだ。

 で、その先のオハナシ…朝鮮半島の「統一」はどうなるか?ということである。

 朝鮮戦争を終わらせるにあたって、金正恩側はアメリカに「体制存続の保証」を求めているということは、もはや常識である。だから「統一」前に、朝鮮半島の南北に異なった体制の国家が並立することになる。具体的に言えば、資本主義経済の下、議会制民主主義の大韓民国と、残存スターリン主義が変質した統制経済であり、かつ世襲の指導者による朝鮮労働党一党独裁体制の朝鮮民主主義人民共和国である。後者は現代社会においてかなり「異質」な社会体制であり、民衆の基本的人権が大幅に制限されている。指導者が世襲されていることから「金王朝」と揶揄されることもある。本論では表題を「金王朝」とあえて書いたが、論では「朝鮮労働党政権」「労働党政権」と記す。

 さて両体制並立の朝鮮半島において、「朝鮮労働党政権」は、韓国や経済制裁解除後の日本政府、その他先進諸国から資本や技術を導入を図り、経済発展のスピードを上げようとしてくるであろう。特に「同胞」の韓国から、ヒト、モノ、カネの導入を試みるだろう。
 また韓国にも朝鮮からの労働者がやって来る。韓国の「資本」も、安い賃金で働き、言葉も分かる朝鮮の労働者を「歓迎」するに違いない。

 この「ヒト、モノ、カネ」の交流が外界の情報から閉ざされていた朝鮮に、新しい風を吹き込むことになる…労働党政権が閉ざしていた朝鮮の「開国」だ!そしてそれがすさまじい力を発揮することになる。
 人権が抑圧され、自由な経済活動を抑えられていた朝鮮人民が、韓国の「体制」その他の世界を知れば、同時に入り込んできた「資本主義の矛盾」も含め、労働党政権の矛盾への怒りを、やがて(というか、かなり早く)労働党政権そのものに向けることになる。

 ベルリンの壁が崩れ、東ドイツが吸収される形でドイツ統一が成った時も、東から西への民衆の民衆の移動があった…だから、朝鮮が「開国」してヒト、モノ、カネが自由に移動できるようになれば、朝鮮労働党=金王朝を「崩壊」させることが可能になるのである。

 もちろん、最終的に朝鮮の体制がどのようになるのかは、朝鮮の人民の闘いが決めることであるが、「開国」はそのきっかけとなる。

 だから労働党政権は「南北和解」共存体制をつくるにあたって、できるだけ「開国」を避ける…ヒト、モノ、カネの移動を制限し、「国境」の中に閉じ込めておくという政策をとるだろう。
 また、韓国の政権も、朝鮮から大量の労働者が来た場合に生ずるであろう矛盾が、労働争議も含めた新たな「革命」に発展する可能性がある(対北対決を口実にした人民弾圧も成立しなくなる。これは朝鮮も同じ)ので、朝鮮の全面「開国」は避けようとするであろう。
 あるいは、そういった「革命」「体制転覆」から自らを守るため、あえて米軍を韓国から撤退させないというアクロバットを、韓国政権も、労働党政権もとるかも知れない。

 逆に、朝鮮半島に真の「統一国家」を樹立させるには、あるいはそれ以前に労働党政権を打倒する、そこまでいかなくても労働党政権をよりマシなものにするためには、朝鮮への「経済制裁」ではなく、現在の「南北和解」路線を発展させ、朝鮮を「開国政策」に導く必要があるのだ。

 そしてその主体は南北朝鮮・韓国の人民大衆である。間違っても日本やその他が「経済制裁」なんぞ振り回してはイカンのである

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