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「批判なき政治」が蔓延している…

 「けーし風」(けーしかじ)というミニコミ誌がある。新沖縄フォーラムが季刊で発行している。大阪ではこれの「読者の集い」というのがあって、私も昨年から参加している。
_0020 これの最新号(第98号)は「特集 2018選挙イヤー前半を振り返る」と題し、主に2月の名護市長選挙の問題が扱われている。その座談会記事中に、何やらもうこりゃあかんなぁ~というお話があったので、紹介したい。

座談会 名護市長選挙を振り返って(記事の流れから浦島悦子さんの発言と、名護市議の翁長久美子さんの発言をとりだしています)

浦 島 渡具知さんは公開討論会を八回も断ったので、それは批判されると思ったけれど、若い人たちにとっては全然ダメージになってないのがすごいショックでした。稲嶺さんを応援する若者たちが相手陣営の若者のところにいって議論しようとしたら、相手はなにも答えられず、反論されたらもう何も言えなくて、議論にならない。ただ「仲良くしよう。仲間だよね」という感情だけで仲間を集めている。渡具知さんの娘さんが「お父さんを応援してね」と書いたメールがワーッと広がったのも、情に訴えたのでしょう。彼らは議論とか政策論争とか、そういうのを求めていないのだと感じました。
翁 長 対峙することは「悪」で、対立するのは良くないみたいな。
浦 島 若い人たちのあいだでは「稲嶺さんは基地問題とか大変だから重荷を降ろしてあげようね」というメッセージも広がったと聞きました。すごくこわいですね。
浦 島 だから、やさしいメッセージですね、喧嘩しない。どうしても基地だとかだと…
翁 長 対立構造ですものね。それより融和とかフレンドリーとか。
浦 島 そういう「明るい夢」とか希望とかで絡めとられていく。それに対して私たちがどうやって対処していくのか。(p17)


 もうこれでは、昨年の都議会議員選挙で今井絵理子がツイートした「批判なき選挙 批判なき政治」 が現れていることに他ならないのではないか
 もちろん「対立構造」が続くことはシンドイ…しかし「基地問題」という争点を抜きにしても、公開討論会から逃げ回り(公開討論をすると、稲嶺批判としてバラ撒いた話が全て「フェイク」であることがばれるため)、批判に全く答えられない候補者が堂々とまかり通るのは、まったくもっておかしな話である。
 みんな仲良く、ハッピーでいられるのなら、これほど良いことはない…だが「批判」のない世界は、結局一番強いヤツが勝つ世界だ。政治や経済でいうところの、権力持っているヤツ、金持っているヤツが、必ず勝つ…あと、声がデカいヤツも。でも、そんなんでいいのか

 この座談会では「若者」の問題とされているが、別の記事には「でも、選挙結果をみると、50代まで七割ぐらいが渡具知票というのが不思議で、稲嶺さんが勝っているのは60代以降ですよね。若い人が渡具知さんに取られてしまうということより、50代が取られてしまうというのが深刻だと思いました。一説によると、1972年の施政権返還を体験しているかどうかという世代で分かれるというのも聞きました。」(別の座談会記事における、大袈裟太郎さんの発言 p32)というのがある。50代ぐらいからの、大人の問題でもあるのだ。
 沖縄特有の「施政権返還」体験の有無はともかく、今の50代が参政権を得て投票が出来る年齢になった頃、80年代以降の「政治状況」や「教育情況」が、今になって非常に悪い影響を与えているのだとも考えられる。

 「批判なき政治」は、結局「(選挙に勝てば)なんでもあり」の世界になる。政治が停滞し、閉塞感がいっそう強まる…その「閉塞感」を破るための「批判」そのものが「ウザい」ことになっているので、さらに政治が停滞し、閉塞感だけが募っていく。先ほど大袈裟太郎さんの発言がある座談会記事において、名護市長選挙に関わった名桜大学学生、小波津義嵩さんの発言を引く…
 宜野湾市長選挙でも、ディズニー誘致や給食費無料化を公約に掲げても実行されていない。実現できなくてもどこか平気な顔をしている。公約違反でリコールにもなっていない。適当なこと言ってもいいと思っているのでしょうか。(p33)

 安倍自民党政権は「TPP反対」と公約を掲げて政権に返り咲いたが、その公約は完全に反故となった…そればかりではない。安倍首相や麻生財務大臣がどれだけウソ・デタラメな答弁を行い、暴言を吐いても、一定3割が支持している…「批判なき政治」が蔓延している結果ではないだろうか

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