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「国体」の3段階変容

 昨日の続き…白井聡の「国体論 菊と星条旗」について

 白井氏は、社会学者・大澤真幸が「戦後の思想空間」(1998年)で戦前と戦後の平行性を考察し、戦前の天皇制が天皇と国民の関係性において「天皇の国民」「天皇なき国民」「国民の天皇」の三つの段階を経過していると紹介した上で、同様のサイクルを戦後史に当てはめることが可能であると想定している。

 明治期すなわち近代天皇制の形成期において欧米列強の侵略からの危機に対抗しつつも、対外侵略も続けてきた「坂の上の雲」を目指していた時代、日本の住人は「天皇の国民」として再定義された。昭和戦前期すなわち資本主義の危機がやってきてファシズム思想が台頭した時代は、受動的に支配・動員される「天皇の国民」を、理想国家実現のため能動的に活動する国民に転換しようとした(ただし、国策=戦争への国民の最大級の動員という形をとって破滅に向かう)「国民の天皇」の時代である。その中間の時代は、天皇制国家が「安定」していたと同時に、「坂の上の雲」に到達して藩閥政府による権威主義的支配がゆらぎ、社会の様々な領域で自由化が進み、資本主義も発展すると同時に労働運動、社会運動が台頭してきた_000005 「大正デモクラシー」の時代であるが、この時代は「天皇なき国民」の時代であると位置づけられる。「天皇の国民」「天皇なき国民」「国民の天皇」の時代はそれぞれ「戦前の国体」の「形成期」「相対的安定期」「崩壊期」と位置付けられる。
 「戦後の国体」は天皇の位置にアメリカが位置付けられる。占領期から安保条約締結、60年安保を経てベトナム反戦、全共闘運動に至る時代が、対米従属の形成を確立のための「アメリカの日本」(形成期)時代。ニクソンショックあたりから、アメリカの没落が始まり日米貿易摩擦が激化した70~80年代、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれ日本人のナショナリズムを最大限に満足させた時代が、「アメリカなき日本」の対米従属体制の「相対的安定期」とする。そして90年代以降、冷戦が終結し、日本が対米従属を国家の基本方針とする必然性が消滅したにもかかわらず、それが自己目的化した「日本のアメリカ」の時代となる。「戦前の国体」になぞらえれば現代は「戦後の国体」の「崩壊期」と位置付けられる…バブルが崩壊し、「失われた20年(30年になりつつある)」時代…わけだ。

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