外国人を分断して、より厳しい管理になる!
今の臨時国会では、外国人在留資格を大幅に見直し、新たな在留資格を作って外国人労働者の受け入れを拡大する「入管法改正」が大きな課題として上げられている。少子高齢化が進み、いわゆる「人手不足」産業も出て来る中で、外国人労働者に頼らないと日本社会が成り立っていかない…ところまで来たのだ。
安倍首相は「移民政策ではない」、「人手不足の深刻な業種に限り、即戦力となる人材を期限をつけて受け入れるもの」と衆議院本会議で答弁している。入管法改正の概要は毎日新聞の入管法改正 受け入れ対象は人手不足深刻14分野に
改正案の柱は、一定の知識・経験を要する業務に就く「特定技能1号」(最長5年)▽熟練した技能が必要な業務に就く「特定技能2号」(在留期間の更新可能)--という二つの在留資格の新設。
とあり、人出不足が深刻な14分野とは
介護▽ビルクリーニング▽素形材産業▽産業機械製造▽電気・電子機器関連産業▽建設業▽造船・舶用工業▽自動車整備業▽航空業▽宿泊業▽農業▽漁業▽飲食料品製造業▽外食業
なんだそうな。
上記の人手不足産業では「技術実習生」「研修生」あるいは「語学留学生のアルバイト」という形をとって、外国人労働者を働かせているのが実情だ。「実習生」「留学生アルバイト」では、制度の趣旨にそった運用をちゃんとやっている所がある一方、正規の労働者でないところから、低賃金・無権利労働の温床となっているケースも多く、外国人労働者の人権を守る上でも問題となっていた。また、これまで日本は、外国人労働者について、高度な専門知識を有する人材に限り、労働者としての滞在を認めているものの、それ以外の「単純労働」については認めていなかった。新しい在留資格を作るということは、とりもなおさず外国人の「単純労働」を認めるということで、外国人政策を大きく転換するものだ。安倍首相が「移民政策ではない」と言っても、実質「移民」によって労働力不足を補おうとするものである。
入管法改正により、外国人労働者が合法的に日本にやってくる…日本の労働力人口が減少するにつれ、否が応でも外国人労働者が増えることになるのだが、それに対し法務省は、これまで内局であった入出国管理局を再編・格上げして、外局の「入出国管理庁」にする方針である。法務省設置法などの改正も、今回の臨時国会で行われる予定だ。
これによって、「違法な外国人入国者」への取り締まりが、より厳しく行われることになる…なんだ、アタリマエのことではと思うなかれ…外国人労働者も含め、外国人を「日本社会に役立つか」そうでないかで「分断」し、違法・不法就労(なんら「犯罪」をおかしていなくても、なんらかの理由で滞在が違法・不法になっただけであっても)には容赦なく取締り、国外追放を行う体制を構築したいということなのだ。
今年の秋、フジテレビで「タイキョの瞬間」という番組が放送された。外国人の強制退去を担う入国警備を密着取材したものだが、「不法滞在」状態になった外国人の事情や、入管収容施設における虐待、人権侵害などの状況を全く無視した、「入管PR番組」として多くの批判があった。記事リンクこちら このような番組が放送されることも、外国人労働者の増加を見越した上で、外国人に対する管理・抑圧をすすめていくという法務省、さらには日本社会のあり方の現れだろう。
外国人労働者、新しい入国資格の導入については、これまでの「実習生」や「語学留学生のアルバイト」といったその場しのぎの、本音とタテマエが乖離した制度を運用するより、きちんと労働者=人としての権利を認め、運用していくことが大切である。同時に「人手不足産業」の賃金や労働条件、働き甲斐といった所も大いに改善していく必要がある。少子高齢化で、労働力が減っていくことは今更止めようがない…だが、後者をそのままに、外国人労働者を導入しても、結局「人の嫌がる仕事」を外国人にやってもらうという、差別の構造は変わらないからだ。左翼であれば、こうゆうこともきちんと考えないとイケナイ
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