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「日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決済み」では絶対ない!

 韓国大法院が10月31日に、元「徴用工」が新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟の上告審において、個人の請求権を認めた控訴審判決を支持し、1人あたり1億ウォン(約1000万円)を支払うよう判決を出した。これについて安倍首相・河野外相を始め、右派からリベラル系のマスコミまで「日韓請求権協定で解決済み」「韓国は国際法を守れ!」など非難を続けている。このような状況になんとしても抗議し、日帝の植民地支配に対する責任を追及し、オトシマエをつけなければならない。
 法律的にいっても、「日韓請求権協定」においては、請求権の「外交保護権の放棄」が行われたのであって、個人が裁判に訴えて請求権を行使することは妨げられていない。政府、外務省もそのように答弁してきた歴史的経緯がある。また、このことは「日韓」だけではなく、一連の戦後処理において締結されたサンフランシスコ平和条約や、日ソ共同宣言等においても同じで、個人がアメリカやソ連(ロシア)を訴えることは妨げていないのである。こうしたことは単なる「学説」とかでもなく、国会で外務省が明確に答弁していることだ。
シベリア抑留者関する質問に対する答弁書
1991年8月27日の参院予算委員会における柳井俊二・外務省条約局長の答弁(リテラ記事)
 「その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます」

 だが日本政府はこういった答弁の存在を隠し、2000年代に入ると戦後補償問題は条約の請求権放棄条項で解決済みとの主張をするようになった。(参考資料 )その「オウム返し」を今回も繰り返している。マスコミも過去の答弁を探したりすることもせず、日本政府の主張をそのまま垂れ流し、韓国に対する敵意、排外主義を煽っている…全く持って許しがたい

 その上で、韓国大法院の判決は、「違法な植民地支配」を弾劾し、それに対する「慰謝料」として1億ウォンを支払うよう命じている…単なる「未払い賃金」の賠償ではない。植民地支配が、韓国司法に弾劾されたということだ。日本の労働者・民衆はこのことを重く受け止めなければならない。
 日韓基本条約-日韓請求権協定は、日帝の植民地支配を謝罪し、償うものでは決してない。日本の植民地支配についての賠償は一切行っていないし、行うつもりもないというものだレイバーネットの記事
 百万歩譲って、一旦締結した日韓条約を破棄・無効化はできない、よって日本政府や日本企業が「法的責任」を負うことは不可能だということを認めるとしても、では「道義的責任」についてはどうか安部首相を始め、日本政府中枢は日帝の朝鮮半島における植民地支配すら認めず、「良いことをやった」と開き直る輩、主張が蔓延している。「徴用工」に対しても、「合法だった」(そりゃ、法律や政令に基づけばなんでも「合法」だ)、「賃金を払っていた」(低賃金で過酷な労働条件の下でこき使っていたんですけれど)、さらにはそのことを後世につたえようとすると「捏造だ」とバッシングされる有様だ。

 提訴された企業は、「徴用工」に対して謝罪と補償を行え日本政府の開き直りを許さず、徴用工問題について責任ある解決策をとらせようネトウヨからリベラルマスコミによる韓国敵視・排外主義の嵐に抗し、植民地支配に対する認識を確立させよう

 歴史修正・排外主義を煽り、東アジアの平和と安定に何も与しない安倍政権を打倒しよう

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