「未来」の新防衛計画大綱批判
革共同再建協議会機関紙「未来262号 」巻頭は、剣持勇の「新防衛大綱」批判である。ちょっとずつ紹介しながら見て行こう。
昨年12月18日、安倍政権は、「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」(新大綱)と「平成31年度から平成35年度までを対象とする中期防衛力整備計画」(新中期防)を閣議決定した。10年程度にわたって適用すると決めている大綱を半分の5年で、しかも安倍首相の下で歴代の首相で初めて2度目の見直しをおこなった。今次大綱は、特定秘密法―安全保障関連法―新日米防衛協力の指針(ガイドライン、2015年4月)という流れの中で、安倍9条改憲を先取りし、集団的自衛権の行使、海外での戦争と先制攻撃戦略などを発動することを前提としている。
このリードの部分で「10年程度にわたって適用する…大綱を半分の5年で…見直し」とあるが、前回の大綱は2013年改定、その前は2009年改定、そのまた前は2004年改定である。ただ、2009年改定は自民党が行ったが、民主党政権に交代したことで1年先延ばしにされ、かつ見直されて2010年改定となった。また2013年改定は、自民党政権奪取後にそれを契機として行われている。いずれにしても「大綱」見直しが5年周期ぐらいで行われていることが分かる。
今次大綱と中期防は、安倍官邸と国家安全保障会議(日本版NSC)が主導して作成した。防衛戦略、自衛隊の編成と装備、予算などは従来、陸・海・空の3自衛隊が下から所要を積み上げ、防衛省(防衛庁)が閣議に提出していた。ところが今度は、国家安全保障会議がトップダウンで決めている。
今次大綱と中期防は、安倍官邸と国家安全保障会議(日本版NSC)が主導して作成した。防衛戦略、自衛隊の編成と装備、予算などは従来、陸・海・空の3自衛隊が下から所要を積み上げ、防衛省(防衛庁)が閣議に提出していた。ところが今度は、国家安全保障会議がトップダウンで決めている。
国家安全保障会議を実質的に仕切るのは4大臣会合(総理・防衛・財務・官房長官)であり、事務を担うのは国家安全保障局という安倍首相お声がかりの官僚機構である。その顧問会議は財界人と学者、自衛隊の将官経験者(うち3人は軍需企業に天下っている)の合計13人で構成される。安倍取り巻きの官僚と財界が軸で、与党ワーキングチームはガス抜きの場にすぎない。
と、まぁ官邸主導で改定が行われていることが理解できるだろう。
あとは、その内容だが…宇宙・サイバー戦闘能力を充実させること(宇宙・サイバー・電磁波という新3領域を「ウサデン」と呼んでいるとのこと)ロシア軍のウクライナ侵攻時の
妨害電波などによる電子戦やサイバー攻撃で高い能力を示したロシア軍の「クロスドメイン(領域横断)戦」や「ハイブリッド戦」を取り入れようとしている。明白な「侵略」「侵攻」を新戦略のモデルにしているのだ
そうな…ひぇ~天下のロシア軍並の能力をつけようってことか
防衛のための「世界戦略」では、「自由で開かれたインド太平洋」戦略…ま、「中国包囲網」の一環だろう。この戦略には、インドとオーストラリアを巻き込む「構想」なのだが、今のところ成功していない。あと安倍がロシアとの「平和条約締結」を、これまで保守が一貫して要求してきた「北方領土返還」をかなぐり捨ててまでも追及しているのは、ロシアをも中国包囲網に加えたい(もちろんそんな構想ならロシアは拒否)ということだろう。
また、重要なのは
大綱が唯一現実的な軍事的課題として掲げるのは、「南西防衛」戦略、特に釣魚諸島をめぐる中国との軍事衝突である。防衛省の内部文書「機動展開抗争概案」中の「島しょ奪回」作戦の検討によると、石垣島を舞台に残存率が30%になるまで徹底的に戦う想定をしているが、住民保護は「自衛隊の主任務ではない」として想定外としている。
妨害電波などによる電子戦やサイバー攻撃で高い能力を示したロシア軍の「クロスドメイン(領域横断)戦」や「ハイブリッド戦」を取り入れようとしている。明白な「侵略」「侵攻」を新戦略のモデルにしているのだ
そうな…ひぇ~天下のロシア軍並の能力をつけようってことか

防衛のための「世界戦略」では、「自由で開かれたインド太平洋」戦略…ま、「中国包囲網」の一環だろう。この戦略には、インドとオーストラリアを巻き込む「構想」なのだが、今のところ成功していない。あと安倍がロシアとの「平和条約締結」を、これまで保守が一貫して要求してきた「北方領土返還」をかなぐり捨ててまでも追及しているのは、ロシアをも中国包囲網に加えたい(もちろんそんな構想ならロシアは拒否)ということだろう。
また、重要なのは
大綱が唯一現実的な軍事的課題として掲げるのは、「南西防衛」戦略、特に釣魚諸島をめぐる中国との軍事衝突である。防衛省の内部文書「機動展開抗争概案」中の「島しょ奪回」作戦の検討によると、石垣島を舞台に残存率が30%になるまで徹底的に戦う想定をしているが、住民保護は「自衛隊の主任務ではない」として想定外としている。
この点だ。「南西防衛」については、前回の大綱でもかなり大きく取り上げられていたものが、いよいよここに来て本格化する。この間、着々と南西諸島の基地化、軍事化が進められてきた。宮古島や石垣島でのミサイル基地建設、奄美大島での警備部隊基地建設などが、マスコミの報道・批判がほとんどされることなく薦められている。その一方で「住民保護は『自衛隊の主任務ではない』として想定外としている」ことを、もっと大きく取り上げ、批判していこう。軍隊は民衆をまもるためにあるのではないということだ。
後は紙面からになるが、攻撃型装備の開発と購入…特に「いずも型」護衛艦を空母に改修すること、整備・訓練のためには3隻が必要になるので、「いずも」「かが」以外にあと1隻新たに建造されるだろうということ。防衛省は、攻撃に要する航空機を常時搭載はしないから攻撃用ではないと言うが、横須賀を母港とする米空母ロナルド・レーガンですら、攻撃戦闘機は年間の半分程度しか搭載していない。(紙面)そうな。その他、購入装備として地上配備型イージス(イージス・アショア)についての記述や、日本の産軍複合体の育成を目指して、独自兵器の開発を目指していること(「高速滑空弾」「極超音速ミサイル」など)の記述もある。
そして何よりも防衛費が過去最高水準で膨れ上がることになる。新中期防の5年間では、現中期防より2兆8千億円増やして27兆4700億円、防衛費の伸び率は年1.1%となる見通しであり、19年度防衛費は1.3%増の5兆1574億円と、過去最大を更新している。こんだけの金を民衆に回せよ!
さらなる軍事大国化に向かい、産軍複合体のため予算を湯水のように使う安倍独裁政権を打倒しよう
後は紙面からになるが、攻撃型装備の開発と購入…特に「いずも型」護衛艦を空母に改修すること、整備・訓練のためには3隻が必要になるので、「いずも」「かが」以外にあと1隻新たに建造されるだろうということ。防衛省は、攻撃に要する航空機を常時搭載はしないから攻撃用ではないと言うが、横須賀を母港とする米空母ロナルド・レーガンですら、攻撃戦闘機は年間の半分程度しか搭載していない。(紙面)そうな。その他、購入装備として地上配備型イージス(イージス・アショア)についての記述や、日本の産軍複合体の育成を目指して、独自兵器の開発を目指していること(「高速滑空弾」「極超音速ミサイル」など)の記述もある。
そして何よりも防衛費が過去最高水準で膨れ上がることになる。新中期防の5年間では、現中期防より2兆8千億円増やして27兆4700億円、防衛費の伸び率は年1.1%となる見通しであり、19年度防衛費は1.3%増の5兆1574億円と、過去最大を更新している。こんだけの金を民衆に回せよ!

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