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関西電力への申し入れ書

 24日に高浜原発で関西電力に渡した申し入れ書を添付する。

関西電力株式会社
取締役会長 八木 誠 様
取締役社長 岩根茂樹 様
高浜発電所長 宮田賢司 様

申し入れ書

 原発は、人類の手に負える装置ではなく、一たび重大事故を起こせば、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、人の命と尊厳を蹂躙する装置であることを、チェルノブイリ、福島の原発事故が大きな犠牲の上に教えています。福島原発事故から8年が経ちましたが、今でも、事故炉内部の様子はほとんど分からず、汚染水はたまり続けています。多くの被害者が、苦難の生活を強いられています。
Dsc02226 一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても電気は足り、何の支障もないことが実証されています。 
 そのため、脱原発、反原発は圧倒的な民意となっています。この民意のゆえに、今、原発に固執するあなた方・電力会社からの顧客離れが進んでいます。関西電力から離れた小口顧客は2割にもなろうとしています。
 脱原発、反原発は、原発立地・若狭でも、多くの住民の願いであり、民意です。私たちは、毎月4日間かけて、若狭の隅から隅まで歩きながら反原発を訴えるアメーバデモと呼ぶ行動を、5年近く継続し、多数の住民から、直接お話をうかがってきましたが、その中でも、原発推進の声はほとんど聞かれていません。とくに、老朽原発の稼働に賛成する声は皆無と言っても良いほどです。
 ところで、福島原発事故の大きな犠牲と、私たちの行動も含めた広範な反原発の声のために、民意を無視し続ける電力会社といえども、原発を稼働させようとするとき、多額の費用を要する安全対策を施さざるを得なくなり、安全対策費がとくにかさむ老朽な原発の廃炉を決意せざるを得なくなっています。関西電力も、2015年に、運転開始44年、42年を超えた美浜原発1、2号機を、1昨年12月には運転開始後38年になった大飯原発1、2号機の廃炉を決定しましたが、全国では、福島事故後、運転開始後40年を超えたあるいは40年近くになる老朽原発11基を含む21基の商用原発の廃炉が決定されています。原発は、経済的にも成り立たないことを実証しています。
 それでも、関西電力は、原子力規制委員長までもが「安全を保障するものではない」と言う”新規制基準”に適合したことを拠り所にして、今年で45年、44年超えとなる老朽原発・高浜1、2号機、43年超えとなる美浜3号機まで再稼働させようとしています。脱原発、反原発の民意を蹂躙し、関西電力の目先の利己的利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものです。また、脱原発に向かう、世界の潮流に逆らうものです。
 原発は事故の確率の高い装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。関西電力も良くご存じのように、次のような理由によります。
・高温、高圧、高放射線に長年さらされた圧力容器、配管等では、脆化、金属疲労、腐食が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器や配管の老朽化は深刻です。
・老朽原発には、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中には交換不可能なもの(圧力容器など)があります。
 関西電力は、老朽原発を今年9月から来年にかけて再稼働させようとしていましたが、2月4日、半年から9ヶ月遅れると発表しました。一昨年1月のクレーン倒壊事故などのトラブルによる工事の遅延のためとしています。高浜原発1号機では、去る3月6日にも火災を発生させています。まともに工事予定を立てることもできず、トラブル続きの関西電力が老朽原発を安全に運転できるとは考えられません。
 なお、原子力規制委員会が「新規制基準」に適合した原発が、再稼働時に次々にトラブルを起こしている事実は、「新規制基準」は安全を保障するものとは程遠く、規制委員会の審査は、いい加減極まりないことを示しています。
 一方、原発稼働によって蓄積する使用済み核燃料の行き場はありません。現在、福井県にある原発が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の7割近くが使用済み核燃料で埋まっています。高浜、大飯の原発を運転し続ければ、6年程度で貯蔵限度を越えます。
 この使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、開催電力は、福井県知事に、昨年内に県外に移すと約束しながら昨年末12月26日になって、候補地提示を断念したことを知事に伝え、謝罪しました。この約束は、大飯原発3、4号機の再稼働への知事の同意を取り付けるための、何の成算もない空約束で、県民を愚弄するものであることは明らかです。関西電力には、県民および全国民に謝罪し、行き場のない使用済み燃料を生み出す原発の全廃を決断することを求めます。
 福島原発事故は、原発が重大事故を起こせば、被害は広域かつ長期におよぶことを教えました。高浜原発などの若狭の原発が重大事故を起こせば、若狭はもとより、関西、中部も高濃度放射性物質で汚染される可能性があります。京都駅は高浜原発から60数㎞、大阪駅は80数㎞の位置にあります。250万人が住む京都府、150万人が住む滋賀県のほぼ全域が100㎞圏内にあり、この全域からの避難が不可能であることは自明です。琵琶湖の汚染は、1,450万人の飲用水を奪います。
 いま、関西電力は、危険極まりない老朽原発まで稼働させようとしています。私たちは、重大事故を起こせば極めて広範な地域の住民に塗炭の苦しみを与え、使用済み核燃料や核廃棄物などの人類の手におえない負の遺産を子々孫々にまで残す原発の稼働を座視することはできません。断固として、老朽高浜原発1、2号機を含む全原発の廃炉を申し入れます。
 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働し続けて、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えておきます。

2019年3月24日
・3月24日高浜発電所前抗議行動参加者一同
・若狭の原発を考える会
(連絡先:木原壯林 090₋1965₋7102)

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