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「左派ポピュリズム政党」はMMTを理論支柱とするだろう

 先日山本太郎は「左派ポピュリズム政党」を目指すのか?で、お友達のkuronekoさんに好意的に取り上げていただき、またコメントもいただいたので、向こうのブログ記事 にもコメント返しなんかをしておいた。「左派ポピュリズム」という言葉が「新鮮」だったようですが、もともとポピュリズムには、既成政党ではとらえられない民衆の不満・要求をすくいあげて、扇動・宣伝していく政治手法であり、そのアプローチは左右どちらからでも行えるわけ。ポピュリズムの事例として挙げられるアルゼンチンのペロニズムは、労働者階級の要求に答えようとする「左派ポピュリズム」であったし(理論的なものはイタリアのファシズムから学んでいる…ファシズムとポピュリズムの違いについては詳しく述べないが、議会外の大衆運動に依拠するか、選挙そのものに重きを置くかぐらいで理解しておいたほうがよい)、イタリアの「五つ星運動」なんかも「左派ポピュリズム」として位置付けられている。また、薔薇マークキャンペーンと市民社会フォーラムの企画にそろそろ左派は<ポピュリズム>を語ろうというのもあることを紹介しておく。

 で、「左派ポピュリズム政党」が掲げるであろう、薔薇マークキャンペーン的な主張…消費税を5%に引き下げ、財政拡大を行う「反緊縮」政策の理論的支柱となるのが、「MMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)」である。ロイターの記事から
焦点:財政拡大理論「MMT」、理想の地は日本か 
 [東京 8日 ロイター] - MMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)が、注目を集めている。独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行できるため、デフォルト(債務不履行)に陥ることはなく、政府債務残高がどれだけ増加しても問題はない、という考えだ。米国では、激しい論争を巻き起こしているが、財政が膨張しながら低金利にとどまる日本は理想の地なのか──。金融緩和策に限界論が出る中で支持が広がるか、市場の関心も高い。(以下略)

 「TPP亡国論」を著した保守の評論家、中野剛志氏も、東洋経済オンラインで2回にわたってMMTを紹介している。リンクのみ貼り付けると
アメリカで大論争の「現代貨幣理論」とは何か
異端の経済理論「MMT]を恐れてはいけない理由
 ざっと読めば、「信用創造」の観点から、貨幣の見方を見直したもの…「貸し出し」そのものが「預金」を生み出すというものなので、中野氏がいうところの、「天動説と地動説」「パラダイムチェンジ」という言い方がまさにぴったりだ。で、それを「独自の通貨を持つ」国家財政に適用したもの。これで国家が借金をする(財政出動する)ことで、市中に出回る貨幣量を増やし、経済をまわしていくことに繋げるのである。

 独自の通貨を持つ、通貨発行権のある国が、財政赤字を拡大させても、財政が破綻することはない…よって財政拡大によって経済をまわそう、インフラをじゃんじゃん整備しよう…という考え方は、保守の一部…安倍政治を礼賛する勢力の中にもいる…から一定の支持がある。また主流派経済学からは「異端視」されていることもあって、左の人たちからも喧々囂々、非難続出かもしれないが…
 ポピュリズム政党なら、それもOKじゃないか!

 ということで、「左派ポピュリズム政党」の理論支柱・基礎には「MMT」が座るのである(当然これは「マルクス経済学」ではない)
 おまけのリンク…薔薇マークキャンペーンの資料米国のオカシオ・コルテス現象について (pdf)米国の「反緊縮ポピュリズム」の動きとして、MMTを理論の支柱にせよというオカシオ・コルテス下院議員の主張を紹介したものである。

 ではでは。

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