宮本たけし氏惨敗の理由をもう少し考える
先日、統一地方選挙で共産党の現職がぽろぽろ落選している、共産党の組織力が落ちているのではないか?と書いた。
もっとも、大阪の場合はもう一つの原因がある。それは先の大阪市長・府知事のW選挙で、自民党が推す候補者に乗っかった…これが裏目に出たのではないかというものだ。
もちろんあのW選挙の段階で、自民党の推薦候補にのるか、それとも自主投票的になんにもしないか(自ら候補を出して自滅という道は考えない)というのは「苦渋の選択」である。自民党が推薦してきた両候補は、決して悪い人材・人選では無かった。そこで「乗っかる」という戦略を採用したわけだが…
肝心の自民党が、コケた!両候補を十分、バックアップすることもなく、組織はバラバラ(逆に維新のほうが組織はしっかりしている…維新はもともと自民党から分派してきた人達も多く、そのへんが自民党組織をそのまま、あるいは強化して大阪で権力を握って来た。逆に自民党は権力を失うとともに「利権」も失い…「身を切る改革」が利いている…組織力を低下させていったとされている)「共産党色」がつくことを恐れて、共闘体制も十分とらなかった…ということで、ボロ負けする。また自民党の敗因は、自民党中央、すなわち安倍政権が改憲その他で維新との関係を良好にしておきたいため、大阪自民党を見捨てた…という面もあろう。
ただでさえ「自民党と野合」したと批判されるのに、選挙でまけたほうにつくとよけい勢いが削がれる…そこで無党派層の「反自民」が共産党に流れず、統一地方選挙後半でも維新にどかぁ~っと流れた!ということだ。
後付けになってしまうが、W選挙で独自路線を貫き、少なくとも静観しておくという態度をとっておけばよかったという意見もある。ただこれも難しく、「反維新」を掲げる左の人たちは共産党の「お客さん」でもあるのだが、静観したら静観したで、またその「お客さん」からボロクソ言われるのだ。
そうすると、統一地方選挙後半では、支持層からの反乱もあり得るのだ…どっちにしても勝てない。
「野党共闘」路線はどうか?何回も書くけれど、これは選挙区に自由党・立憲民主党、社民党の支持者がそこそこ居る場合は有効だが、府議や市議にどんな党派が出ているか?地方選挙だとどこもそうかもしれないが、自民・公明・共産党、あと無所属、大阪の場合は維新がほとんど。大阪12区でみると、府議選挙は寝屋川選挙区で維新・公明・共産で争われたが、四条畷・大東選挙区では維新と公明だけが立候補して無投票で終わっている。市議選挙では寝屋川市で立憲民主党の新人が最下位当選(ちなみに1票差!で共産党候補が落選している)しているが、社民党候補は千票取れず、幸福実現党よりちょっと上ぐらいという体たらく。四条畷市には立民、社民、国民、自由党の候補者そのものがおらず、大東市は今回選挙やっていないが、民主党から2名の議員が出ている。
他の立憲野党の支持層が少ない中、無党派層に訴える「力」が「野党共闘」にあるか?と言えば、はっきり言いましょう…「野党共闘」とは何か、何のためにやるのか…ということを普段から宣伝していない以上、別の言い方をすれば、安倍改憲を阻止する、安倍のデタラメをやめさせる運動を普段からやっていないと…一般市民は「野党共闘?何それ?」の世界なのだ。これが現実である。
そういった中で、共産党の宣伝カーで「市民と野党の統一候補~」と何度叫んでも、空回りするだけである。
そうすると、宮本たけし候補は、共産党として闘ったほうが良かったのか?
そう、その通りだ!そのほうがなんぼかマシであったろう。
だが、党中央は「野党共闘路線」を選び、宮本氏を無所属にして選挙に臨んだ…このことが、外部の他党支持者なんかからは「共産党が腹をくくった!」と好意的にとらえられた(私も実はそうだ)こともあって、全国から選挙ボランティアが1000名来た!という効果も生み出したが、それだけ外部から「野党共闘よろしく~」と頑張っても、空回りしていたのだ。
普段から運動をつくっておいて、支持してくれそうな人を「開拓」しておかないと、野党共闘路線なんて成り立たないのである。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- けんじと太郎でタヌキを追い出せ!(2020.06.18)
- 不正を防ぐために必要な人にお金が渡らないことはあってはならない(2020.05.22)
- 公共の場を閉鎖するばかりが能じゃない!(2020.04.09)
- 辺野古、護岸工事が打ち切られる⁉(2020.04.05)
- 「れいわ現象」の正体(その3)…「新選組」はどうなるか?(2020.03.30)
「たたかいとかくめい」カテゴリの記事
- 設計変更を許すな!奥間政則さんの学習会(2020.06.29)
- 奥間政則さん学習会のお知らせ(2020.06.26)
- 本日6月24日の市役所前行動(2020.06.24)
- 京都で生活補償を求めるデモでありますっ!(2020.06.22)
- 京都で生活保障を求めるデモがあるよ!(2020.06.20)
「かくめいのための理論」カテゴリの記事
- 設計変更を許すな!奥間政則さんの学習会(2020.06.29)
- けんじと太郎でタヌキを追い出せ!(2020.06.18)
- BLACK LIVES MATTER”よりも”大切なこと(2020.06.14)
- コロナ禍での社会ヘゲモニーを握ろう!(2020.05.15)
- 憲法1条を守れば天皇制はなくなる?(2020.05.05)
コメント
「野党共闘で安倍政治ストップ!」と、わたしだって国会前集会でシュプレヒコールでもあれば、唱和しますけどねえ。地方選挙でそればかり言ってたら、「中間層、無党派層にリーチする意識がなくて、仲間内で盛り上がっているクチだな、こりゃ」って心もとなく思うでしょう。
宮本候補を出してきたというのは、モリカケ問題をもう一度意識させようという狙いもあるんでしょうね。ただ国政レベルの政治課題を、大阪都後送の是非って論点のところに出してきても、ノリが悪いような気もします。
投稿: kuroneko | 2019年4月26日 (金) 00時47分
kuronekoさん。そうなんですよね。「野党共闘」「野党統一候補」と言っても、何のためにするのか分かっていないと、単なる「野合」とか、酷いのになると「小沢一郎の怪しい構想」の一環だとか思われているのが一般の感覚なんでしょう。
「反安倍」でなくても、例えば「脱原発」の運動だったら、とりあえず自民党を減らすという目的はしっかりするわけです、その上で、野党統一候補に「脱原発」政策を認めさせるか?ということも焦点となって、人美tの関心も高まるわけです。
逆に「野党共闘」そのものを目的としたり、「野党共闘だから」ということで説明もなにもないまま、上から候補者が下りてきても皆さんは白けてしましますね。
投稿: あるみさん | 2019年4月27日 (土) 13時19分