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絶対面白いぞ!映画「主戦場」

 日曜日、第七藝術劇場で従軍慰安婦問題を扱った映画主戦場を観てきた(^^)

  絶対に面白い!観るべし!
 ゆっくり行ったら、劇場は満員で立ち見でした。 

 否定論者・歴史修正主義者とそうでない人を交互に出演させる形をとりながら、歴史修正主義者を完膚なきまでに論破・粉砕している!監督・プロデュースした米国人、ミキ・デザキ氏に拍手です。
 例えば…
・慰安婦は「強制連行」されていない→ウソ、だましによる慰安婦募集は強制。
・慰安婦は「性奴隷」ではない。多額の金をもらっていた、買い物をしていた、自由があった→どれだけお金をもらっていようが、自由意志が奪われたかっこうで全人格を拘束されていれば、それは奴隷とみなされる…「雇い主の許可」のもとの「自由」でしかなく、自由意志が認められていたわけでもない。
・どこの国でもあった→アメリカだったら、軍人が組織的に売春行為をしていれば則、規制がかかり、売春所は閉鎖された。
・慰安婦の「証言」はころころ変わる→つらい思いをしていた人が「証言」すること自体、大変なこと。それに「本筋」は変わっていない。
・慰安婦は「公娼制」があったので、合法だ→当時日本が批准していた国際条約その他に違反していたので、違法。

 等々、慰安婦問題をまじめに学習した人にとって「常識」である事項を、否定論者の口から逆に語らせる手法をとっているわけで、これが「痛快」なんだな。

 それはそうと、日本の「右派」に人気のテキサス親父って、日本人のプロデューサー(藤木俊一)氏がいるのですな。ケント・ギルバート氏はちゃんと英語でインタビューの受け答えをしている。「新しい教科書をつくる会」の藤岡信勝氏が「国家は謝罪してはいけない」と言う場面にかぶせて、第二次大戦中に日系人を強制収用したことに対し、補償する法律を作った時にロナルド・レーガン大統領が「謝罪」している映像が流れる❗
 大御所?桜井よしこ氏も出てくるし、みんな大好き!?杉田水脈氏は「大活躍」状態…杉田氏の場面だけ取り出してみても、十分エンタメとして成り立つようになってるぞ!

 そのほか、慰安婦「日韓合意」には、日本と韓国が対立していては困るアメリカの思惑が後押ししていること(これは植民地支配の清算がほとんどできなかった「日韓条約」締結時の構造と重なる)や、改憲(明治憲法体制への回帰)を掲げる「日本会議」の野望も、しっかり言及されている。
 映画の最後のほうに「ラスボス」は出てくる…が、マンガ等のストーリーにありがちな、しょぼいキャラクターであった…吉見義明氏や、秦郁彦氏の本すら読んでいない…が、それはむしろ「歴史修正主義」を支えるのは、安易な主張に流れる私たち自身にあるということを暗示しているのだろう。ラスボスよりもむしろ、彼らと連なってNHKに圧力をかけ、教育基本法を改悪した右翼政治家、安倍晋三首相の役割が大きいこともきちんと描かれている。また最後は慶応大学名誉教授の憲法学者、小林節氏や 元日本軍兵士の松本栄好氏、さらにはミキ・デザキ氏のナレーションにより、安倍改憲に警鐘を鳴らしている。

 そしてこの映画が「カメ止め」みたいに流行れば、少しは日本の状況がマシになるかも知れない…などと思ったりもした。

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