さすがにこう書いちゃうとマズいでしょ!
今月の「資本主義の終わり論2」先月号(拡大再生産表式)の続き を読んで驚いた!松尾匡氏らの理論批判を批判するための展開で、その中身はともかく、こんなことが書かれている。
需給論で考えると 不況は需要がたりないからだと考えられるので 例えば 消費者の購買力を増やすために最低賃金を2倍にするとします。だが それを発表した途端に 物価は2倍になり、貸付貨幣資本(金融資本)は海外に逃避します。賃金が上がる前に物価は2倍になり、民衆の生活は那落の底に突き落とされるだけでなく 国内の貸付貨幣資本(金融資本)は海外逃避で減少し、企業倒産は一気に増大します。最低賃金を2倍にする前に物価の統制(固定)と貸付貨幣資本(金融資本)の海外逃避を阻止することが絶対的に必要なのですが 「最低賃金を○倍に」と主張している人でこのことを明確にしている人はいません。需給で考えている限り 資本を規制することはできないし、資本の論理に勝てないのです。
言いたいことは分からいでもないが、賃金を上げると資本は海外に逃避し、企業倒産は一気に増大します…とは、もろに賃上げを否定する時にブルジョワがよく使う言葉じゃないのか❗ブルジョワが使う言葉を使って、労働者の「賃金を上げろ!」という要求を完膚なきまでに否定するのは「マルクス主義者」としてやってはイカんでしょ❗
正確な情勢認識を持ってもらうと、今「最低賃金を2倍に上げろ」などという大胆・太っ腹な主張を掲げている人たちはいない。最高で時給にして1500円、当面は最低賃金時給1000円にしろ!というのが、労働者階級の「ささやかな」要求である。時給1000円になっても、8時間労働では8000円/日、4週6休で月24日程度働いたとしても、月収19万2千円、年収で230万円程度である。これに税金や社会保険料が加わるし、持ち家でなければ家賃も数万円/月にかかる…はっきりいってカツカツだ。
「賃金が上がる前に物価は2倍になり…」と書かれているが、ここ3年、最低賃金は毎年3%引き上げられているにもかかわらず、物価は3%も上昇していない❗(ただし食料品はちょこちょこ上がっているが、これは輸出産業を支えるための円安政策が効いているのだろう)…ぶっちゃけた話、日本の「過剰生産能力」は最低賃金がたかだか1000円から1,500円になったくらいでは、どうってことないのである。
さらにいうと、今日本で最低賃金で働いている人たちというのは、主に保育、介護、建設、物流といった、日本国内で本当に必要とされていている部門で、国内(にしかない)需要を相手にしている人たちである。資本が「逃避」しても仕事はあるし、またなんらかの形でそれらの仕事はしなければならない。これらの部門はいわば人手不足でもあり「資本が逃げない」ように!?外国人を低賃金で働かせようとする動きが進められているが、必要なのは外国人労働者の導入ではなく、最低賃金を引き上げることだ。(「薔薇マークキャンペーン」マニュフェスト(pdf)でも「国内で⾏われている「外国⼈技能実習」名⽬の外国⼈奴隷制度や、それと同様の制度は廃⽌します」とある。)単純に資本は外国に逃げないし、逃げてなくなったとしても「公的資金」を出してでも業務は続けなければならない。
5月には資本家・ブルジョワジーの側から最低賃金の上昇について音を上げる発言が繰り返された…5月20日には経団連会長 最低賃金の上げ幅は慎重な議論を(NHKニュース)とあるし、23日には中小企業団体である日商会頭”最低賃金千円”反対意見表明へ(Yニュース、日テレ)とある。最低賃金を上げることに、ブルジョワがこれだけ悲鳴を上げているのだ。しかし前者については内部留保型が製造業は153兆円、非製造業で293兆円もためこみ、自らも年に2億4300万円もの高額報酬を受け取っているヤツが何を言っているんだ!ふざけるな!の世界であるし、後者についても例えば大企業との取引が労働者にまともな賃金を払えないようなものであれば「関西生コン型労働運動」、協同組合方式で対等な取引を要求するといった「対案」も用意する必要がある…もちろんこれは「資本主義の根幹をゆるがす」ものである。
最低賃金の上昇要求を貶めてはならない。確かに法律で「最低賃金」を決めることは労働運動で賃上げを勝ち取ることとは違うことであるが、最低賃金を決める法律の背後には、民主主義の元に結集した多くの労働者がいるのである(そうでなければ法律は成立しない)…まずしっかりと、最低賃金は時給1000円→1500円!を掲げようではないか!
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