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「キングダム」で解く中国大陸の謎(その3)

やっと「その3」である(^^)
 社会の流れ…氏族制の解体…にまかせておれば中国の「統一」は紀元後になるハズなのに、紀元前221年に秦が中国を統一することが出来た、それは何故か?という問いの答えは、ざっくり言うと「秦が法家による改革を成功させたから」ということである。本書ではそのへんの事情が詳細に展開されている。
 戦国時代というぐらいだから、中国の中で諸国家が争っている。その中で王や封建貴族たちの大切なテーマは「いかに自分の国を強国にするか」富国強兵ということになる。孔子、孟子。老子、韓非子、墨子…儒家、法家、縦横家、兵家…諸子百家とよばれる様々な思想家が輩出し、様々な形で封建諸侯の政治に参加するなど活躍したのもこの頃である。その中の一つ、法家による改革は「信賞必罰の徹底」だそうな…本書の記述ではこうなっている。
 厳格なルールを設け、それに違反した者には罰を下し、功績のある者には褒美を与える。ムチで国民を縛り、アメを与えて忠誠心を君主に向けさせるという単純なものである。しかしこれは、当時の氏族制社会を真っ向から否定するものであった。その点から見れば、法家導入の最大の意義は「平等性」にあったと言えよう。
 第1章で説明したことを思い出してほしい。当時の中国は、それぞれの地域に氏族制をベースにした「マトリョーショカ型のピラミッド構造」があった。国を支配する君主といえど、国の末端のことはわからない。大小のローカル権力者が各地で重層的に存在し、一般庶民を支配していた。そのため、国が庶民の動員を必要とするなら、ローカル権力者の協力が必要だ。ある地域で罪を犯すものが出れば、基本的にはその地域のローカル権力者が罰を下すことになる。
 法家の「平等性」とは、このようなピラミッドをすべて潰すことを意味する。ローカル権力者を認めず、秦全土でまったく同じ法を布き、公族、王族、貴族でも、土地の所有者でも、一般市民でも、ルールの違反者には身分を問わずに一律の罰を下す。唯一の例外は君主本人ただひとり。「法の下の平等、ただし君主は別格」ということだ。
 秦という国の中にあったいくつものピラミッドを、すべてローラーで押しつぶす様子を想像してほしい。平らに均された後に残るのは、君主というただひとつの山だけだ。更地になったピラミッドの権力は、すべて君主の山が吸収する。(p62~63)
 こうした改革は、君主の下で強力な官僚機構と軍隊を作り出す…特に「動員」のことを考えてみよう。氏族制社会では、庶民を刈りだして大軍を動員するにも、「ローカル権力者」の協力がいる、法家改革を実行すれば君主の一存で何十万の庶民を動員した軍隊ができるのだ。当然、戦国時代ではそのような国が断然、有利となる。
 秦で「法家改革」を断行したのは、商鞅である。彼は秦に赴き紀元前359年から「商鞅の変法」という改革を実行した。内容は①分異の令…次男以降は成人したら分家する②従互の制…5家族を1組として編成し、相互監視させる③軍功爵制…戦場で手柄をあげれば出世、なければ没落。これを公族にも厳格に適用④県制…各地に一代限りの官僚を派遣して直接統治する というものだ。①は、一族で一緒に暮らして生計を立てることを辞めさせ「自作農」を増やすものだが、秦では分家した者が「占領地」に赴かされるということが行われた。②は文字通り相互監視で、①と②によって人々をバラバラにして君主が直接支配することになる。③、④で君主以外の王族・貴族やその他ローカル権力者の力が削がれる…この改革を行い一定成功することで、秦では氏族制社会がドンドン解体していくとともに、「富国強兵」を成し遂げることが出来たのだ。
 他の国では「法家改革」はうまくいかない、あるいは当時の氏族社会を補強する論理である「儒家の思想」を取り入れたため、秦のような強力な官僚機構と軍隊を持つことができなかった。たとえば南にあった「楚」でも紀元前400年ごろ、呉起(ごき)が法家的な改革を行ったのだが、不徹底に終わっている。楚では王族が1000人もいたとされ、法家的な改革で不利益を被る利害関係者(「信賞必罰」では、これまでの地位もたった一回の失敗で失う可能性がある)があまりにも多かったことが失敗の原因の一つだ。対して秦は西方の「新興国」でもあり、そういった利害関係者が少なかったのも、法家改革が成功した原因の一つだろう。
 かくして「キングダム」の時代になると、秦王、政は趙、韓、魏、燕、楚、斉の六国を滅ぼして「統一」を目指すようになる…それに対抗する六国は、統一なんてことは考えたこともなく、氏族制が続く「国家連合」を目指していたようだ…かくして中国は秦によって統一され、秦の「法」が中国全土を支配するようになる。

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