新人女性候補を比較してみた
参議院選挙大阪編のつづき…
選挙で大勝した維新の2候補のうち73万票を獲得してトップ当選したのは、新人の女性梅村みずほ氏である。維新公認が決まった時も完全に「誰それ?」状態の、知名度、地盤一切なしの人だ。もっともトップ当選できたのは、維新の組織票を確実に回しているからであって、2位現職の東氏は66万票、前回選挙でも維新は2位、4位を73万票、67万票ときれいに分けている。
ただ、いくら組織がしっかりしていても、候補者の素質が悪ければみんなそっぽ向くのは、先日の衆議院大阪12区の補欠選挙で自民党候補をみればはっきりする。そこでどんな候補だったのか、HPとユーチューブで拾える街頭演説をチェック…ついでに立憲民主党から立候補した、こちらも無名の新人女性、かめいし倫子氏とも比較してみた。
梅村氏の売りは「お母さん目線の政治」だそうで、最近まで「無党派層」「政治的無関心層」だったそうな…「維新」と出会って考え方に共鳴し、公認を得て立候補したとのこと。フリーアナウンサーをやっていたこともあって、演説、しゃべりはまず及第点をあげられる。消費税増税をやる前に、維新が大阪でやってきた「身を切る改革」を国もやるように訴え、そして教育無償化等の政策に取り組むと訴える。「身を切る改革」の中身や金額はともかく(維新が国政選挙で訴える場合、議員歳費が高い…一人22,000万円だ…ということをやり玉にあげるのだが、衆参両院合わせて713人の議員歳費を1,000万円削っても、71憶円にしかならない。高速道路工事が1㎞できるかどうかの世界である)それなりに筋は通っている。また街頭演説では、自分の日常的な”思い”を聴衆にぶつけて共感を得ようとする姿勢が見られた…はっきり言って「庶民受け」するようなタイプである。ただ本人のプロフィールその他をみると、フリーアナウンサーという職業も含め、決して普通の庶民にカテゴライズされる人ではない。また政策については、自分のというより「維新」の政策を支持して下さいと訴えている…投票行為も、自分にというより維新にという感じで訴えている。逆に言うと「維新ブランド」のおかげで、自分が国会議員の候補者になって、ここでしゃべっている、というような姿勢が見られる。ある意味「オレが、ワタシが!」と変に気合が入っている候補者よりも謙虚に感じられるだろう。また維新全体のやり方であるのだが、大阪から「改革」を行うこと、東京でなく、大阪に党本部があることを売りにして、大阪人の「ナショナリズム」をくすぐっているのはいつもの通りであろう。
対するかめいし氏は、演説、しゃべりは及第点だが、「庶民受け」というにはやはり弱い。弁護士、それも刑事被告人の弁護をしてきた、その方面で実績をあげているのが実績であっても、なかなか庶民にとっては「何それ!」の世界だしなぁ~
政策のうち特徴的なものは、選択制夫婦別姓の導入と同性婚の実現である。その他、消費税増税反対、財源は税制を見直して富裕層や大企業から取ること。賃金を上げる、最低賃金を上げて、フルタイムで働けば年収300万円になるようにする、教育や子育てに投資する等、薔薇マークキャンペーンの主張に近い(ただし「薔薇マーク認定」は受けていない…アンケートに回答していないのかもしれない)リベラルな価値観と民衆のための経済政策を、淡々とだがしっかり訴えていると感じた。ただし直接、安倍政権や自民党、はては維新の「身を切る改革」への批判めいたことは言わず(そうゆう事は共産党のたつみコータロー氏に任せたか?)本人も「あまり批判はしたくない」などと言っている。そのへんが立憲民主党の弱さなのかも知れない。
ざっくり言うと、梅村氏は「ふんわりとした一般庶民、大衆」向け…その大衆には様々な人がいるのだが、最大公約数を獲得するという感じだ。対してかめいし氏は、夫婦別姓にしたい人、同性婚を求める人、非正規労働者で生活が苦しい人…といった、個々の問題の対象者を向いている…総花的に「リベラル」になるのだが、いかんせん最大公約数を取りに行くというものではないので、なかなか無党派層、政治的無関心層には広まりにくいだろう。
では「維新」の真似をすれば勝てるのか?よく「維新」の手法に学ぶべき…というのがあり、それはそれで一定正しいのだが、一派庶民、大衆の最大公約数を目指したあげく、主張や語り口が維新と似たり寄ったりになったり、自己のやりたいこと、理念を押し殺したりしては意味がない。立憲民主党は立憲民民主党の、かめいし倫子はかめいし倫子の主張、訴えたいこと、他の党や候補者の違いを出しながら、どう訴えていくのか!ということを常に考えていかないといけないのが選挙戦である。そしてそうゆうプロデュースが上手いのが「維新」の強みなのだろうとも思った。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- けんじと太郎でタヌキを追い出せ!(2020.06.18)
- 不正を防ぐために必要な人にお金が渡らないことはあってはならない(2020.05.22)
- 公共の場を閉鎖するばかりが能じゃない!(2020.04.09)
- 辺野古、護岸工事が打ち切られる⁉(2020.04.05)
- 「れいわ現象」の正体(その3)…「新選組」はどうなるか?(2020.03.30)
「かくめいのための理論」カテゴリの記事
- 設計変更を許すな!奥間政則さんの学習会(2020.06.29)
- けんじと太郎でタヌキを追い出せ!(2020.06.18)
- BLACK LIVES MATTER”よりも”大切なこと(2020.06.14)
- コロナ禍での社会ヘゲモニーを握ろう!(2020.05.15)
- 憲法1条を守れば天皇制はなくなる?(2020.05.05)
コメント