山本太郎首相で日韓関係再構築は可能か?
先日、日韓基本条約を革命的に見直す件について、「新選組」の山本太郎首相では可能だろうか?と書いた。
山本太郎が現在の日韓関係について語ったのは、8月1日における新宿での街宣「れいわがはじまる 山本太郎の街頭記者会見」である。その【動画・文字起こし全文】前半 の最後のほう、聴衆からの質問に答えている部分を引用すると。
日韓関係、これが悪化して喜ぶの誰だ?ってことですよ。あの申し訳ないんですけれども、このアジア諸国、近隣諸国に対して、あまり良い感情を持ってない人がいるっていうのは知っています。色んな思いがあるのは分かります。けれども国の場所は動かせないんだよってことです。同じ町内に、自分の苦手とする人がいて、もう我慢ならんっつって引越しすることは可能だけど、国の位置は、動かせないんでしょ? だとするならば、上手くやっていくしかないんですよ。(中略)
日本から韓国の輸出総額、約6兆円ですよ。この6兆円という利益が無くなっても良いと思うなら、好きな事言ってくださいってことです。でも私は、そのような感情よりも、私は6兆円という国益を大事にしたい。皆さん、どうですか? よく使われる、これは世界的にもそうだと思います、ナショナリズムを煽りながら、あの国がどうだこうだっていうことをどんどん煽りながら、自分たちがやっている政治の不味さってものにベールを掛けるってことですよ。
内政の行き詰まりを、ナショナリズムを使って、それを隠そうとする政治。まさに今じゃないですか? 近所付き合い、上手くやるしかないじゃないですか? 6兆円もあるんですよ、その利益が。中国は、一方でいくらくらいでしょうか? 出ますかね。14兆ですよ。14兆円も、日本から輸出して、14兆円8897億円、輸出総額ね。もちろん中国からも入れてますよ。でも、これだけ大きな取引が、お互いにされるということは、切っても切れないんですよ。上手い事やれやって話なんですよ、上手い事やるつもりないんだったら、政治なんて必要ないんですよ。政治があるから、外交できるんでしょ?って。当然の事ですね。(以下略)
徹底的に今現在の、経済と国益の話しかしていない。日本と韓国との間には植民地支配の支配・被支配の問題という、他の国際関係とは違う問題があるにも関わらず、それに一切触れられていない。元徴用工や元慰安婦とされた人たちに対し、謝罪や補償をする必要があるのか?ということにも言及していない。
彼が日韓関係、植民地支配とその清算問題について、どのくらい勉強しているのかは不明である。彼を「リベラル・左翼」として位置付ける人も多いと思うが、この問題に関しては今のところ「リベラル・左翼」と位置付けることは出来ないだろう。
もっとも、彼が一定この問題について勉強していたとしても、今の支持者の前で「左傾」がかったことを言うのは難しいかもしれない。現在の支持者はかつての無党派、政治的無関心層も多いし、心情的に自民党を支持していたような保守層も含まれる。そういった人たちにいきなり「植民地支配問題で謝罪・補償を!」とポーンと訴えても、ドン引きされて支持がぱぁ~っと離れるのは目に見えている。だから戦略的に当たり障りのないことを言っている可能性もある。
また、彼はカンのいいところもあるから、参議院選挙では個々の問題についてのスペシャリスト・仕事人を候補者にするという「戦術」を使った…もし時期衆議院選挙で「日韓関係の修復」を公約に入れる必要があると判断すれば、おそらく問題の「スペシャリスト」を候補者に選んでくるであろう(ただしその「スペシャリスト」が植民地支配・戦後補償のプロなのか、日韓外交のプラグマチストなのかまでは読めない…ただし今回引用した発言から発展しないのであれば、おそらく後者になるだろう)。
ということで「山本太郎首相」で日韓関係再構築、日韓基本条約の革命的見直しは、おそらく難しいのだろうと考える。左の人は、こういった「限界」があることを認識したうえで、山本太郎を支持したり批判したりする必要がある。
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