左派ポピュリズムが設定する「敵」とは?
いちおう英国のコービン、米国のサンダース、オカシオコルテスら、あるいは日本の「新選組」山本太郎というような、民衆のために財政出動して世の中を建てなおそう!という潮流を、「左派ポピュリズム」ということにしておく。
で、ポピュリズムの「特徴」として、分かりやすい「敵」をあげつらって、そいつらを叩くことで支持を得ようとする…というのがある。欧米の右派ポピュリズムが、移民や「イスラム」というものを敵視することで、支持を得るようなものだ。では「左派ポピュリズム」が設定する「敵」とは何か?
既成の政治を批判し、彼らが出来なかった「財政出動」政策をとるぞ!というわけだから、既存の政治、政党、政治家は批判の対象だろう。だがそれは右派ポピュリズムもやっている。
左派ポピュリズムでは、国債発行による財政出動は一時しのぎであり、財源は大企業・富裕層からの「収奪」である。最終的には税制改革を行って、法人税率の引き上げ、累進課税の強化、金融資産課税の強化を目指す…だから「敵」は大企業・富裕層…ということになるのであるが。
これらを「敵」としても、非常に分かりにくいのだ。「税金」をちゃんと納めていない富裕層って、具体的にどんなヤツなのか見えてこないし、大企業といっても、今や経営者が直接、生産手段を保有しているわけではない。もちろん大企業の経営層(CEOとか)は役員報酬として、一般の労働者が手にすることが出来ない報酬を手にしているわけだが、そいつらの具体的な「顔」が見えるわけでもない。トヨタのCEOが豊田章男だと言われても、全然身近な存在ではない。
経団連会長 なんか、どうだろう?…えぇ~此奴が日本を動かしている?全然分からん!それに彼らは4年ぐらいで交代してるし…
富裕層を「代表」するホリエモンなんかどうだろう?えっ、あいつはえらそーな物言いは癪にさわるが、別に日本を動かすほど影響力があるとはとても思えないし!
規制緩和を推し進め、かつ自らも派遣業を経営して利益を貯め込んできた竹中平蔵はどうか?いやぁあいつの犯罪性は大きくて、自民党政権を打倒する過程で「失脚」させ、責任を取らす必要はあるが…彼一人を「攻撃」しても、必要なお金はでてこないでしょ…
そうゆうことで「左派ポピュリズム」が設定する「敵」ってのは、実は設定しずらい、できないものなのだ。設定しても全然分かりやすくない。「移民」や「イスラム」といった敵は分かりやすいし、「維新」が設定した敵、公務員や教職員(実態はその労働組合も)なんかは、身近にいるし彼らが「恵まれている」という扇動も、身近にるのですっと入っていける。
山本太郎は「富裕層に負担していただく」とは言うけれど、敵にして「打倒する」「追い出す」などとは絶対に言わない…そりゃ、追い出せば「財源」はなくなるからね。(革命的左翼だったら、資本家は「打倒する」「追い出す」対象となる)
左派ポピュリズムは分かりやすい「敵」は設定しておらず、敵を設定して民衆を「扇動する」というポピュリズム手法は、実はとれない…だから「左派ポピュリズム」と呼ばれる政治潮流を、「ポピュリズム」と規定することは、多分間違いなんだろう…と言えるかもしれない。
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