MMTが「正しい」ことこそが間違いなのだ!
「新選組」から比例代表で出馬した、太西つねきという人がいる。もともと「フェア党」という政治団体を作って、いやその前はJPモルガン銀行やバンカース・トラスト銀行といった外資で金融の仕事をしていた人だ。当然、山本太郎氏は「経済のプロ」として彼を引っ張り出してきたのだと思うが、その経済思想、政策はどんなものなのか?ということは動画ばっかりで紹介されているので、判断していなかった。
そこに長州新聞が、大西氏が広島で行った選挙講演会の文字起こし記事太西つねき氏(れいわ新選組)の演説を文字で読む 現代社会が抱える金融システムの不条理をネットに公開している。すごく長いのだが、多くの人が読む「人気記事」のようだ。最初のほうは高度成長、バブル崩壊後の日本経済状況等の説明なのだが、まんなかぐらいからキモに入って来る。
銀行の信用創造…すなわち「借金でお金をつくる!」ということについて説明がなされる。銀行は人から預金を受けると、その中から預金準備金(ここでは仮に1%としている)を日銀に預ければ、預金を右から左に貸し出すことができる…この方法で次から次へと「お金をつくる」ことが出来る…預金準備金が仮に1%だとしたら、元金が100万円あればそれを1%で割った1億円までお金をつくることができるのだそうな!
これを太西氏はこう言う
これが意味するものは、現代のお金はほとんどが借金で生まれているということだ。だからみんなが借金を返してしまえばお金が消える。つまりみんなが借金を返してはいけない仕組みなのだ。ただ、だからといって銀行からお金を借りて「お金を返したらお金が消える仕組みだから返さない」といっても銀行は納得しない。必ず返せという。だからみんな毎月返済する。その分お金は消えている。でもお金が減らないのは、その分誰かが借りているからだ。誰かが返せば、誰かが借りて新しいお金を生むという自転車操業だ。返した分、誰かが借り続けなければいけない。
で、日本の場合、マネーストック(お金の総量)はバブル崩壊後ぐらいまでは民間の貸し出しによって支えられてきたが、その後は民間の貸し出しが鈍り、代わって国債によって支えられるようになる。
そして太西氏は
現代貨幣理論とは、政府が借金をしてお金を発行し続ければいいという話だ。まさに日本が数十年間やっていることだ。必ずこうなる当然の帰結だ。政府の借金でお金を発行し続けたのだから--。そうでなければ回らない金融システムだ。民間の信用創造、民間の借金によるお金の発行は必ず頭打ちになる。地球は一個しかないのだから、経済成長は必ず止まる。お金と借金を増やし続けるようなことが続くはずがない。この金融システムを維持するために誰かが借金をし続け、お金を発行し続けなければ立ちゆかない。最後まで借り続け、1円も返さなくても借り続けられる政府が借金をし続けてお金を発行し続けなければ、今の金融システムを維持する方法はない。
だからMMTとは、この仕組みをただ単に認めたということに過ぎない。仕組みの結果を認めただけで解決策ではない。そのままそれをやればいいという話ではない。私のことをMMT論者だと誤解している人もいるが、それは間違いだ。
要するに、信用創造があるので自国通貨を発効できる政府がいくら自国通貨を発行しても大丈夫というMMTは正しい、成立しているのだが、それを成立させている金融システムそのものが間違っている!ということを言っているのである。
なにが根本的な問題なのか。それは、借金でお金を発行する仕組みそのものだ。このまま借金を続けることは大きな問題があり、政府の国債のもとに年間9兆円もの利息を発生させている。利息とはお金を持っている人がお金を増やす仕組みだ。持っていない人にお金を貸してもっとお金を貰う。年間9兆円だ。日本政府の国債のもとに30年間で300兆円以上の利息が発生している。つまりそれだけお金を持っていない人からお金持ちに所得が移転されているという話だ。なぜお金という公共のもの(それがなければ経済が回せないもの)をつくるのに利息が発生し、その利息が富める者を富ませ、貧しい者から奪い続けるのか。こんなものは社会にとって意味がない。
社会にとって意味がない…そう、お金だけが沢山、社会にあっても意味がない…逆にお金がなくても生産がきちんと行われ、生産物が必要な人に必要な時に必要なだけ届けば、社会は成り立つ。みんな生きていくことが出来る。
MMT「理論」で国債を発行して、流通手段としての「お金」を貧困にあえぐ人にバラまけば、その時はそれでうまくいくかもしれないが、最終的には「富める人」のところに利子として還流する…そしてその利子は、それが払えないことを理由にした会社倒産等により、生産そのものをぶっ壊すのである。
そして太西氏は、「借金でお金をつくる」システム、金融を改造して「価値を作るためにお金をつくる」ということを提案している。その前段として例えば、政府通貨・紙幣を発行して、借金をチャラにする(そうすると市中に出回る「お金」は消えてしまうから、現行の金融システムは崩壊する)というようなことも考えている。もちろん、そうゆうことをやろうとすれば現在の金融資本・資本主義社会を真っ向から否定し、対決することになるから、彼の考えていることは権力とって、革命的にやらざるを得ないだろう。
なんか凄いぞ、大西つねき氏…「ケインジアン」がMMTでお金を作って「有効需要」を作り、今のまま社会を動かせばエエと考えているのに対し、MMTは現状を正しく説明はしているけれど、それが成立している社会そのものが間違っているのですよ!と訴え続けている…内容はマルクスとは違って、金融の世界からの切り込みなのであるが、すごく革命的だ。
で、薔薇マークキャンペーン で10月4日(金)18:00~エル大阪で、松尾匡氏と大西つねき氏のコラボイベントをやるそうだ(また別途案内が出るだろう)…革命的太西つねき氏が、ケインジアン松尾匡氏をコテンパンにやっつけるのか!?楽しみなイベントでもある。
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