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三陸の「復興」もしくは国土強靭化を見て…

 半月ほど、三陸鉄道とその周辺の「乗り鉄」記事を書いてきた。実質、3日間ほどしか現地にはいなかったのであるが、いろいろと「復興」に向けた防潮堤工事や、バイパス道路工事を見ることが出来たのは大きかった。
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 震災・大津波から8年余、まだ仮設住宅に住まざるを得ない人、原発事故で避難生活を余儀なくされている人もいるが、多くの街では高台とかにちゃんとした住宅が整備され、そこで暮らしている。交通網も元に戻った…その上で、さらに「安全」を目指して、防潮堤や道路の工事が今も行われている。
 防潮堤にしろ、バイパス道路にしろ「ここにこれだけのものが必要なの?」というくらい大きい、あるいは立派なものだ。だがここには8年前、確かに巨大な津波が来た…同じ程度の津波は、また来るだろう…そのためにはこれぐらいのものが必要だ!というのは、痛いほどわかる。

 ここで一つ疑問が出る…同様の津波は、今後30年以内に高い確率で来ると言われる、南海トラフ大地震においても起こるとされている。にもかかわらず、例えば高知県の海岸沿いで今、このような大規模な防潮堤工事やバイパス道路工事を行っているということは聞いていない。何が言いたいかというと、三陸で巨大な土木工事が「必要」だからバンバンやっている、だが他の「必要なところ」ではそれがなされていないのではないか?ということだ。
 道路については、もともと三陸地域には、三陸自動車道などの計画・構想があって、震災後は「復興道路」と位置付けられ、予算を投下して建設が勧められた。道路建設は周辺の道路整備も同時にやらないと意味をもたない。防潮堤を新しく作る、同時に海岸も整備するということで、同時並行的にバイパス道路も作っているのだろう、それはよい。
 だが、例えば高知県ではそのような高規格道路の建設計画はなく、住民の安心のためのバイパス道路を整備しようとしたら、一からやらないといけない。予算もつきにくいだろう。そうすると、次に南海トラフ大地震の津波が来る前に、バイパス道路整備や防潮堤整備が間に合わないということにもなりかねない。

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 「国土強靭化」という事が言われている…東日本大震災の後も、熊本地震を始めとする震災や、台風、集中豪雨による被害が多発している。今も台風15号による停電は、千葉県等で現在進行形である。加えて高齢化が進み、災害に対応する人的リソースも低下する中で、ハード面の防災対策をきちっと行っておくことは急務である。
 消費税増税に反対している元内閣官房参与の藤井聡 氏などは、「アベノミクス」の中の財政出動でバンバン「国土強靭化」のための公共投資をやるように主張していたわけだが、それは三陸では十分に行われた「かも」しれないが、まだまだ不十分だと感じているのだろう。で、安倍政権はそういった方面にカネも政策も出さず、財政出動はフェードアウトのうえ、消費税増税!に舵を切った…増税した分が公共投資に回るかどうかは分からない…おそらく過去にあったとおり、ルーチン的な「国債償還」と法人税減税とかに消えるのであろう。ということで藤井氏は、財政規律なんかには構わず(MMT理論に基づいて)大規模な財政出動をして国土強靭化・公共投資をしろ!と言っているわけだ。このあたりは温度差こそあれ、松尾匡氏や山本太郎氏も同様だろう。
 また、金を出すだけで「国土強靭化」が出来るわけではない…建設業界も高齢化・人手不足が続いているのだ。必要なリソースを、それこそ「無駄」なオリンピックや万博、カジノに使うわけにはいかないのだ。(工事を請け負うゼネコンにとっては、とにかく金がはいってくれば、オリンピックスタジアムでも賭場でもエエわけだが…)

 三日間、三陸を回りながら得た感想である。

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