二酸化炭素は目的でなく、結果だ
昨日のブログ記事についての補足をしておくと…
私は決して「環境問題」を軽視して良いと考えているわけではない。辺野古・大浦湾への米軍基地建設は、貴重な生態系を破壊する許せない行為だと思うし、あちこちで進む道路建設やダム建設なども、工事によって痛めつけられる自然や生活空間を見るのはやはりしのびない…出来ればやらんほうがエエかも知れないと思っている。大きなことを言えば、石炭火力発電で「二酸化炭素」を出しまくるのは問題ないが、石炭を大量に採掘するインドネシアの現場で、住民の生活が破壊されるなら、そんな発電は止めるべきだ。アマゾンで開発に伴う森林火災が続いていると報道されている…ブラジルのトランプ、ボルソナーロ大統領も暗躍していると言われているが、貴重な生態系が壊され、広大な森林が破壊されることのほうが二酸化炭素を出しまくることより、地球の気候そのものを改変してしまうことにつながりかねない(もちろん今起こっている火災によってすぐ気候が変動するということはないだろうが、毎年ちょっとずつアマゾンを破壊することが続けば、いずれアマゾンの森林は消滅してしまうだろう…ちょっとずつ破壊することを今止めないとイケナイ)
もっと言うと、資本が自由に利潤を追求する資本主義社会において、化石燃料や地下資源を大量に消費し、大量の財を生産・流通させ廃棄物を出すという行為そのものが、あちこちで環境の悪化や生態系の破壊をしている…海に漂うマイクロプラスチックの問題って、まさにそれだろう。大量にプラスチック製品を作り、消費し、廃棄する…それが海の生き物を苦しめているし、食物連鎖を通じて人間にも跳ね返ってくる。資本主義社会をなんとかしないといけないと同時に、大量生産・大量消費のあり方そのものを変える必要がある…「環境問題活動家」グレタ・トゥンベリさんの演説・叫びというものが、そうゆう方向に動かないとイケナイということ「のみ」であれば、私は大賛同するだろう。
だが、どうゆうわけか環境問題の「最大の」課題が、人類活動によって排出された二酸化炭素によって地球が温暖化している、それは過去にないペースで進み(過去にも「中世温暖期」があったのに!)今、対策をとらないと大変なことになる(自然現象だから、対策なんかとれない!どーやって地球を冷やすのか?)ということになっている。そして二酸化炭素の排出量を、ありとあらゆる技術や政治的手法(排出権取引等)をつかってなしとげなければならないことになっている。
だが、科学技術を使って「対策」するのであれば、いや、およそありとあらゆることが、現状認識が正しくないと間違った方向にいってしまうのだ…かつての「革命的左翼」が、1975年ぐらいに起こった資本主義の基軸転換…生産から金融へ…と言う動きをつかむことが出来ず、新しい理論も打ち立てられずに廃れていったことを忘れてはならない。現状認識が間違っていたからダメになったのだ。
もちろん、資源を大量に使い、大量に生産し、消費するという事を止める、ダウンサイジングすれば、自ずと人間活動から発生する二酸化炭素の量は減る…これは自明だろう。さしあたっては石油や石炭、天然ガスの使用量が減るので、二酸化炭素量は減る。そう、二酸化炭素は目的ではなく、結果なのだ!
だが、二酸化炭素を目的とした場合、おかしなことが起こって来る…それが巷で行わている「石油代替エネルギーの開発」「再生可能エネルギーの開発」または二酸化炭素を地中に封じ込めようとしたりするなどの、途方もない科学技術の使い方である。
なんども言うように、現代社会は石油をつかって何でもやるのが一番効率が良い。石油燃料を使えば、発電も運搬もなんでも出来る。だが、石油代替エネルギー(原子力発電のようなもの)や「再生可能エネルギー」は効率が悪いので、結局それを運用するために別途石油エネルギーを使わざるを得ないことになる。ドイツやスペイン、ポルトガル等で「再生可能エネルギー」による発電量が増えた、コストが下がったと宣伝されている…しかし欧州から発生する二酸化炭素の量が減ったという話は聞かない。別のところで石油・石炭を燃やさざるを得ないのだろう。
発電や自動車による運搬という「1モード」のみの二酸化炭素発生の有無を競うから、こんなことになる。「温暖化対策」で「二酸化炭素を減らそう」として、やってることが全く逆になるわけだ。(石油などの化石燃料の消費量を減らすという「目的」だけを「1モード」でやっても同じような結果となるが)
だから環境問題を解決するためには、「二酸化炭素をなんとかしよう!」というセントラルドグマを粉砕しておかないとイケナイのである。目的と結果をごちゃまぜにしてはイケナイのだ。
あと、「二酸化炭素」セントラルドグマのおかげで、脱原発をしようとしても「再生エネルギーがまだだから…」という理由付けにされていることも付け加えておこう…だが3・11後の日本では、これは通用しないハズだ。何年間か、大した再生可能エネルギーなしで、原発ナシでやってきた実績があるのだから。
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