「なんとかならんかこの日本!?」太西つねきVS松尾匡
昨日「なんとかならんかこの日本!?本質的変化を見据えて政権交代を実現しよう」集会に参加し、先の参議院選挙で「新選組」から比例代表で出馬した大西つねき氏と、薔薇マークキャンペーン呼びかけ人の、立命館大学経済学部教授、松尾匡氏の講演を聞いてきた。「講演集会」という形で呼びかけられており、スケジュールも二人がそれぞれ講演した後で、対談という形をとっていたのだが、全部二人の「対談」で行われた。
「新選組」から出馬した大西つねき氏の集客力なのか、会場のエルおおさか6階会議室は18時過ぎには大勢の人がつめかけ、18時半の集会開始時には立ち見が出るぐらい盛況だったし、内容も良かったぞ。
細かなことについておっつけレビューしていくつもりだが、おおざっぱな話をすると…やっぱり太西つねき氏は「革命的」でした!
お金というものは、銀行が私的に発行し、通用させている(一応国家の「中央銀行」が独占的にやっているのだが)その発効したお金(借金)は利子を取るしくみになっている。この利子というのは、「金持ち」だからもらえると言う特権的なものでしかない。これが格差を広げ、あらゆる経済や社会の「持続可能性」を妨げているので、これを変えないとイケナイ。
だからお金の発行は政府が行う、利子はとらないようにする。またお金そのものには「価値」はない…人が具体的に働き、モノやサービスを生産することでしか価値は生まれない。お金を社会に回すことで、人びとが動く(働く)ようにすれば良い。今作っているものを海外に売る、黒字をかせぐ必要はない…10年ぐらい「ガラパゴス化」させて、社会の設計思想を変え、循環型社会にする…その技術を売ればよい。これが日本の産業構造の転換だ。こっちのほうでお金を回せば、「経済成長」もしますよ、持続可能ですよという方向性を打ち出したい。
大きく言えば、これが太西氏の考えていることだ。
で、驚いたのが松尾氏も「お金の発行のしかたを変える」金融システムを変えるという考え方は、大西氏と同じ!ってなことを言っていたこと。「薔薇マークキャンペーン」その他からは、ちょっと伺えない。「ケインジアン」が何を言ってるんだ⁉という感じなんだが…松尾氏によれば、「政府による貨幣の発効」や「国債の日銀直接引き受け」は法律を変えないと出来ないが、国債をめぐりめぐって日銀が買う(アベノミクス的手法)なら法律を作らずとも可能なのだ…という「方便」らしいが、まぁそれは置いておこう。
要するに、「政府(国家)が通貨発行権を握る」ということになる(この究極が、全銀行の国有化)であろう)が、アベノミクス的、あるいは「薔薇マークキャンペーン」的なやり方で「お金を作る」「作って必要なところに回す」というのは、究極的には社会主義・共産主義である。政府、国家が「お金を作って渡す」という権力でもって、必要な物資・労働力を調達するということに他ならないからだ。もちろん、実際に仕事をするのは今ある民間セクターである。
とゆうようなことが理解できた…そうすると「松尾構想」の問題点も見えてくる。
政府が物資や労働力を調達する際に、政府が発行するお金(政府紙幣)で政府が物資や労働力を調達する場合、それは現在資本主義下で通用している通貨とは別のモノでなければならない(究極的には、「労働証書」となる)。しかし資本主義社会の金融や株式その他モロモロの制度、仕組みが大々的に残って動いているままで、政府紙幣が同じ日本円ならば、作ったお金は一旦労働者・民衆の手にまわるものの、すぐに資本に還流してゆく。「過剰な資本」が利子や配当その他を要求し、生産そのものすら脅かしているのが、現代資本主義の危機の本質であり、そのことが太西氏の目指す「持続可能な社会」を妨げてもいるのである…そうゆうところに、更に「お金」を過剰に流してどうするのか!ということだ(これが「アベノミクス」に対する批判でもある…マルクスをかじっていながらそいゆうことを分かっていない、あるいはちゃんと言わないので、松尾氏は叩かれるのだ!)過剰に流した「お金」が、一国的に需要が供給をはるかにオーバーしてインフレをもたらすということは「絶対に」無くても、別の方法で危機をもたらすだろう。
とはいえ大西氏の提起は魅力的であり、お金の発効はともかく、流し方を変えて世の中を変えていこうということは重要である。まして消費税が増税され、ますます労働者大衆の生活が苦しくなる中、きちんと「反緊縮」を掲げ、安倍政治や維新の政治に対抗することが求められている。こうした方向性で臨みたいものだ。
おまけ…講演、集会の中では「新選組」の楽屋裏みたいな話も聞けて面白かったのだが、「消費税を5%に戻す」ことも含め、情勢のキーを握る”ケインズ党”こと日本共産党についてのお話は、まったくなかったことを付け加えておこう。
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