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11・10太田昌国講演会(前編)

 10日日曜日、大正会館ホールで行われた太田昌国講演会に参加してきた。(写真等は、なし)12時半の開場少し前に行って、チケットを渡し受付…会場ではちょっとした軽食なんかも売っていて、それを食べる人もいた。
 13時少し前に開会、司会進行、音響等は趙博さんである。まずスタンダップ・コメディーでナオユキさん「商店街、酒場のカウンターで飲んだくれ」「やさぐれ女が飲んでいた」「真っ赤な顔してろくでなし」…等々、街の居酒屋でのあるあるネタを披露すると、館内は笑いの渦に巻き込まれた、すごく面白かったぞ!
 続いて、川口真由美さんのミニライブ。「ケサラ」「真実は沈まない」のおなじみの歌の他、「沖縄よどこへ」という歌が披露された。
 特別報告①で角岡信彦さんが「ふしぎな部落問題」と題する講演をされた。角岡さんは兵庫県の被差別部落出身者である。本日、天皇代替わりパレードが行われることを引き合いに出しながら、天皇制と部落問題はかぶるところがある、国の広大な土地に決められた一族しか住めない「天皇制」も「地と血」(と書いた紙をかざす)、土地と血縁が重なり合った問題であると説明された。その後「部落差別」をなくすことに反対する人はいない。ところが「なくす」ことは部落をなくすことなのか、部落を残したまま差別をなくすことなのか?障害者差別をなくす運動を考えれば分かるように、差別をなくすことは当事者をなくすことではないのだが、これがはっきりしないままこれまで取り組みが行われて来た。差別があるから反対運動があるのであって、部落は残る…という問題提起をされた。
 次に「どこ×だれ」と書かれた紙を掲げ、インターネットが出てきてから、部落問題が一変した。ネットで調べればどこが被差別部落なのか、誰が部落民なのかが分かる(と言って、ネットで検索した大阪市内の被差別部落を示す地図を表示)これを取り締まる法律もない、部落や、部落民であることを隠せなくなっていると述べた。
 その上で、部落民というのは、差別がないと存在しない者で、カテゴリーとしてはなくなるべきものなのだが、では部落民とは何か?と、自分の家系図(といっても、祖父母と兄弟のみ)を紙に書いたものを示した。祖父母、父母は部落出身者と結婚しているが、兄弟は3人とも部落じゃない人と結婚している。部落同士の結婚が減っているのだ(これは差別が弱まっているからとも言える)では自分の姪は部落民なのか?自分は部落民ではないが、部落関係者だと思っている。人は「関係ない」と思っていると、差別意識を持つようになる。だからいろんな「関係者」になって欲しいと結ばれた。
 特別報告②は、アジアプレス・インターナショナル で朝鮮報道に携わる石丸次郎さんが「北朝鮮と如何に向き合うか」と題する講演である。(石丸さんは「北朝鮮」と発言されているが、本文では呼称を「朝鮮」とする)石丸さんは80年代の学生時代、日韓連帯、韓国民主化運動と係り、88年には韓国に語学留学へ、93年に初めて朝鮮へ行くと、内情は韓国側が「反北宣伝」で言っていたことと変わらなかった。朝鮮の正体を知りたいと思い、朝鮮の取材を始めたとのこと。学生時代、確たる情報もなく憶測で朝鮮の「世襲」を擁護するような発言をしてしまったことへの思いもあるようだ。
 パワーポイントで説明される…朝鮮は「スーパーウルトラ真正独裁」国家であると批判、システム的に野党が存在できない。また「プロレタリア独裁(共産党・労働党の1党独裁)」を標榜しつつ、金一族独裁をその上に乗せた二階建て構造である、労働党の上に金一族独裁がる体制だと述べた。「党の唯一的領導体系確立の十大原則」が憲法や労働党の規約よりも上の最高綱領として掲げられ、そこには金日成・金正日主義の真理性・純潔性の徹底的固守や、党と首領に対する忠実性を尺度に全ての人を評価する等書かれていることが資料として示された。朝鮮の人々はこの「十大原則」についての点検会議を1週間に1回、生活総括として必ず行い、生活手帳に「十大原則」の何が出来なかったのか書かなければならないそうだ。
 とはいえ日本は朝鮮とどう向き合うべきか?安倍政権は「前提条件なしの会談」などと言っているが、そうではなく関係改善にむけた行程表、ロードマップをつくって、公に提案すべきであると述べた。日朝国交正常化には4つの条件が必要で、それが①植民地支配の清算②朝鮮半島の統一と非核化に寄与すること③朝鮮の民衆の具体的利益になること④拉致問題の解決ないし前進 である。拉致問題とは、朝鮮が日本と対立するために起こした問題ではなく、南北対立に日本が巻き込まれた問題である。双方で拉致問題が「未解決」であることを確認した上で、①真相究明作業は継続するものの、解決の前提とはしない②謝罪は求めるが、実行犯・責任者の処罰・引き渡しは求めない(物理的に無理だろう)③損害賠償は放棄する④日本の独自制裁は、国連安保理決議に抵触しない範囲で解除する…ということを提案された。
 最後に石丸さんは、朝鮮の民衆がおかれている状況にも関心をもっていただきたい。自分は淡々と取材したものを出すだけなのだが、ネトウヨが喜ぶ記事を書いていると朝鮮総連から批判を受けたりもするなどと述べた。そして「帰国事業」で9万3千人もの人が朝鮮に渡っている。その人たちがどうゆう生きざま、死にざまだったのか、NGOを作って記録している。帰国事業は人道事業として、自民党から共産党までみんな賛成した。どうか関心をもって欲しいと訴え、11月13日(水)、18時半から「大阪市立住まい情報センター」3階ホールで行われる「北朝鮮貴国事業とは何だったのか」集会への参加呼びかけを行った(配布資料に案内あり)
 石丸さんの講演終了後、20分ほど休憩…会場内で売っていた角岡信彦さんの「ふしぎな部落問題」(ちくま新書 2016年6月)を購入した。

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