辺野古の基地は自衛隊が使う!?
沖縄で進められる辺野古新基地建設だが、いつ出来るのか、どれだけ金がかかるのか全く分からない…政府も埋め立てに10年かかるとかとんでもないことを認めつつあるようだ。それでも強引に進める理由は、小西誠氏によれば自衛隊が共同使用をする予定があるからだそうな。 「要塞化する琉球弧」(社会批評社 2019年9月)の第7章「日本型海兵隊・水陸機動団の発足」に、「沖縄本島への水陸機動団1個連隊の配備」という章立てがある(p148)そこには
自衛隊は、もともと水陸機動団については3個連隊の編成を予定している。このうちの2個連隊が、2018年までに編成され、1個連隊が追加配備されるというわけだ。問題はその配備先だ。
自衛隊は、未だに公式には発表していない。ところが2012年統合幕僚監部の「日米の『動的防衛協力』について」という文書には、この配備先として、キャンプ・ハンセンと明記されているのだ。(この文書の詳細は後述)(p148)
とある。
「日米の『動的防衛協力』について」という文書について、2018年3月30日に、共産党によって国会で追及されている。で、その元ネタのpdfがネット上にある。 (どうもこくた恵二らしい)これを元に小西氏も(彼は別途情報公開請求で黒塗りだらけの資料を得ているが、こくた氏が上げたものと縦書きが横書きになるなど違っている…安倍政権お得意の「改竄」が疑われる資料だ)第9章「日米共同作戦下の沖縄本島の増備態勢」と題した章立てを行い、論じている。
具体的には「訓練場としての共同使用」として「沖大東島射爆場・鳥島射爆場・伊江島補助飛行場」(いすれも米軍専用)
「部隊としての共同使用」として、「嘉手納基地・グアム基地」
「部隊配置としての共同使用」として、「陸海空自衛隊の弾薬支処として嘉手納弾薬庫」
「陸自兵站部隊としての共同使用」として、「キャンプ・ハンセン」などなどが、列挙されている。
つまり、沖縄本島・離島・沖縄水域の、全米軍基地・訓練場・射爆場の、自衛隊との共同使用を通して「対中の戦略的プレゼンス」を高める、というわけだ。
こうして見ると、新設されようとしている辺野古新基地の、日米共同基地化は必然となる(水陸機動団と米海兵隊との共同作戦)。(p178)
リンクしたpdfファイルの一番最後には、沖縄島の地図とともに、〇進編部隊については、ハンセン、シュワブに配置する案もあるものの、共同使用すべき施設についてはこだわらず とあり、シュワブとハンセンが併記されている。シュワブはご存じのとおり、軍港機能を持つ辺野古新基地と一体的に運用されるから、シュワブに配備された(あるいはハンセンでも)水陸機動団は辺野古新基地を使うことになるわけだ。
このことが大きく取り上げられないのは、マスコミが自衛隊の南西シフトについてまともに報道しないということもあるのだが、「日米の『動的防衛協力』について」という文書そのものが「対中国防衛」を正面から明記しているので、外交問題にまで発展しかねないこと(ゆえに防衛省はこの文書の真贋性を認めていない)また防衛省・自衛隊がイラクなどのPKO文書を2018年4月1日(共産党の質問の翌日!)国会提出し、そちらのほうに関心が行ってしまったということもある(小西氏はこれを、文書を隠すための陽動作戦とみている)。
ともあれ、自衛隊は米軍基地を共同使用・共同利用するということで、新たな部隊を沖縄島に展開する構想を持っていることは明らかだ。薩南諸島や宮古・八重山と違い、沖縄戦の記憶が残る沖縄島に、新たな自衛隊部隊を設置・展開するのは難しいとされてきた。だが、既存の米軍基地を利用…元から使っている米海兵隊は、大部分がグアムに移転するので、その後に入ればエエわけだ…することで、「南西シフト」「島嶼戦争」準備を行おうというわけだ。
これまで玉城デニー知事をはじめとする「オール沖縄」勢力も、あるいは辺野古新基地建設反対に取り組む我々も「辺野古新基地、在沖海兵隊は抑止力にはならない。だから基地建設反対」という論理でもって反対してきた。ここに「自衛隊配備・共同使用」という新たな理屈が加われば、新たな論理でもって基地建設反対をしなければならない。
もちろん対中国外交という問題もあるので、「日米の『動的防衛協力』について」という文書・構想がそのままストレートに実現するか?ということもある。民主党政権下の2012年作成のこの文書には、宮古島、石垣島のミサイル部隊の配備も、奄美大島への自衛隊配備も全く明記されていない。安倍政権下で、宮古島、石垣島、奄美大島への部隊配備、増強で対応し、沖縄島には陸上自衛隊を新規に配備しないという方針替えがあるかも知れない…とはいえ、グアムに撤退する海兵隊のための辺野古新基地にあくまでもこだわる安倍政権が、何を考えているのか分からないところがある。
とにかく辺野古新基地建設だけでなく、南西諸島への自衛隊配備問題ともきちんと学習し、闘うことが求められているのだ。
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