陸自水陸機動団の動き2点
「日本版海兵隊」といわれる、陸上自衛隊の水陸機動団についてのニュースを2件紹介する。
一つ目は琉球新報のもので、水陸機動団が沖縄で初訓練を行ったというもの。
陸自水機団が沖縄県内初訓練 金武 日米共同、進む一体化
陸上自衛隊の水陸機動団(水機団)と米軍による共同訓練が9日、金武ブルー・ビーチ訓練場(金武町)で報道機関に公開された。島しょ奪還の専門部隊として2018年に発足した水機団が県内で共同訓練を実施するのは初めてで、今後も継続することで将来的な沖縄への部隊配備につなげたい地ならしの狙いも透ける。陸自と米海兵隊の共同訓練は沖縄のみならず県外各地でも活発化しており、日米一体化が進む現状を映し出している。
9日午後、金武ブルー・ビーチ訓練場。沖合にいた米海軍の艦艇から降ろされた日米の兵士らが、10隻以上のボートに乗り砂浜に上陸してきた。銃を構え、身を低くして前進するも、敵に見つかり銃撃戦に。訓練用の空砲とはいえ実戦さながらに白煙が漂い、緊迫した様子で米兵と自衛官が英語を交わす。
敵を制圧後、波しぶきを上げた米海軍ホーバークラフト型揚陸艇(LCAC)が上陸し、高機動ミサイル砲システム「HIMARS(ハイマース)」が砂浜に姿を現した。長射程のミサイルを搭載するハイマースが在沖海兵隊に配備されたのは16年で、LCACを使用した陸揚げ訓練は初めてという。
「水機団との連携は全タイプの作戦の強化につながる」。訓練終了後、米海兵隊第31海兵遠征部隊のロバート・ブロディー司令官(大佐)はそう強調した。
米海兵隊を“お手本”に創設された水機団は、国内外で米軍との共同訓練を重ねてきた。現在は長崎県に2連隊が置かれているが、将来的には三つ目の連隊が沖縄に置かれる構想が取りざたされる。
防衛省関係者は「沖縄には反発もあり配備には厳しい環境があるが、共同訓練は今後も不可欠になる」と語る。
「日本版海兵隊」と米海兵隊が初めて沖縄の米軍基地をつかって共同訓練したということだ。なお、水陸機動団と米海兵隊の共同訓練は2006年から行われているし、2018年には種子島で大々的に行われている。また水陸機動団は3個連隊の配備が予定され、2個連隊が2018年度までに編成されているが、のこりの1個連隊の配備先は、沖縄の米軍基地(キャンプ・ハンセンとか)の共同使用という形で行われるのではないか?という話もある。(参考記事)
その追加配備先が、北海道ではないか?というのが次のY!ニュース産経新聞の記事である。
「日本版海兵隊」北海道に新設検討 水陸機動団、訓練環境整う
防衛省が陸上自衛隊の離島奪還部隊「水陸機動団」について、北海道の陸自駐屯地への新設を検討していることが分かった。長崎県佐世保市の相浦駐屯地に次ぐ2カ所目の配置となる。規模は600人程度で令和5年度末までに立ち上げる方針。「日本版海兵隊」と言われる精鋭部隊を増強し、中国公船の領海侵入が続く尖閣諸島(沖縄県石垣市)など南西諸島の防衛強化を図る。
夏までに配置先を選定し、令和3年度予算案に新設経費を計上する方向で調整している。南西諸島有事での即応性を重視し、沖縄本島へ新設する案もあるが、訓練環境が整い、地元の理解も得やすい北海道が有力になっている。
水陸機動団は、相浦駐屯地(2個連隊)のほか、3個目の連隊を相浦以外に作る計画が決まっている。北海道は即応性は不十分だが、浜大樹訓練場(大樹町)など海に面した訓練場があり、訓練実績も多い。自衛隊関係者は「周辺国への抑止効果のためにも訓練を重ねて能力を高めることが不可欠」と語る。
沖縄本島については、多くの米軍基地や軍事訓練を抱える地元から政府への反発があり、部隊新設の調整が進むのか不透明だ。
■水陸機動団 水陸両用作戦を担う陸上自衛隊の部隊。日本の離島が侵攻された場合、水陸両用車やボートなどで上陸し、敵の上陸部隊を奇襲して島を奪還する。米海兵隊を手本に、平成29年度末に相浦駐屯地に発足。2個の連隊のほか、後方支援、通信、偵察など2100人態勢を組む。米国などで米海兵隊との共同訓練も実施している。
米軍基地が集中する沖縄島に、さらなる自衛隊配備は難しいだろうから「地元の理解も得やすい北海道」に置くというもの…ただし「訓練地」としての沖縄・米軍基地さえ残しておけば、バンバン共同訓練もできる。もちろん日米共同訓練は北海道でもやってる(むしろこっちがメイン)ので、共同訓練態勢もふくめて北海道が妥当であると判断されれば、水陸機動団の残り1個連隊は北海道に置かれることになるのだろう。
産経新聞のニュース記事には「南西諸島の防衛強化」と書かれているが、水陸機動団は敵の上陸を水際、あるいは沖合で阻止するものではなく、敵が上陸・占領した島を後に「奪還」するためのものである。相手の「占領」が前提の軍隊だ。そしてこの水陸機動団、「海兵隊」と名乗っている(名乗らされている?)くらいだから、護衛艦「いずも(空母改装予定)」に乗り込んで南シナ海にいっしょに行っている…中国に対する「砲艦外交」を担っているのである(参考記事)…米海兵隊との共同訓練は、いずれ米海兵隊と同様の「侵略の軍隊」として、海外で闘うことの出来る軍隊を目指しているといっても過言ではない。
水陸機動団の動向をこれからも注視するとともに、自衛隊が侵略できる軍隊、侵略する軍隊になることに反対しよう!
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