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「れいわ現象」の正体(その3)…「新選組」はどうなるか?

 本書の巻末には「新選組」から参議院選挙に立候補した女性装の東京大学教授、安富歩氏のインタビューが収録されている。安富氏は立候補したものの当選についてはハナから考えておらず、選挙運動で自分の理念(「富国強兵」から「子どもを守る」)を伝えることに専念していた方だ。_0001_20200330102701  安富氏は同じく先の参議院選挙で「躍進」した「NHKから国民を守る党」が、日常的に関わる人がいる上で選挙結果を出している「草の根型」「組織型」の政党であることに対し、「新選組」は「山本太郎ひとり、モードが全く違う。組織が全くなくて、カンパだけつのって、ボランティアだけで選挙活動をやっている。」と評する。そして「『山本太郎』という中心が消えないといけないと思っています。」(p216)と述べている。「山本太郎の動きが誰かを刺激し、その人がまた誰かを刺激するという連鎖が起きないといけない。私たちが候補として出ましたが、別にその候補者に限らず、山本太郎の活動に影響を受けた人が自分でも動いていかないと。そうゆう波及効果がどれくらい起きるか、ですよね。今まで政治に関わろうとしなかった人びとが、カンパしたりポスター張りをするだけではなくて、自分で地方選挙に立候補したりする。その動き全体が、いつまで『れいわ新選組』という形をとっているかは分からないですよ。また別な形が現れるかもしれませんが、そうゆう連鎖が広がっていくということです」(p217~218)と述べている。一方、このまま「新選組」が大きくなって当選者を増やし権力を取っても(山本太郎氏が総理大臣になっても)日本の権力・官僚システムからボイコットされる。民主党政権以上に政府が止まり、そこに揺り戻しが来て本当のファシズムが始まると危惧している。(山本太郎が「ファシスト化」するわけではない。彼は組織化をやろうとしないので、独裁者にはならないと安富氏は言う)その上で「れいわ新選組の動きを見た人の生き方が変わり、政治というものへの関わり方が変わり、多くの人が主体的に立候補したり誰かを支持したりするという動きが広がっていく。それは必然的に住み方とか働き方とか、生活の仕方も含まないといけない。つまり、今ある権力システムにしがみついて生きるのをやめる、ということです」(p221)と述べる。今のシステムから多くの人びとが逃げて、システムが崩壊してゆくことに「新選組」の運動を通して希望を見出しているようだ。 
 では、こういった安富氏の意見もふまえたうえで「新選組」は今後どうなるのか?あるいはどうすれば良いか?私なりに考えてみた。次の衆議院選挙まで国会に議員を送り込むことに特化した「政党」としての運動は続く…しかし今の組織もつくらず山本太郎個人に依拠した運動では、数人の国会議員を擁する弱小のつまらない集団に終わってしまうだろう。とはいえ森岡教授が指摘するように、かっちりとした組織をつくって「既存政党化」しても面白くないし、面白くなくなればやっぱり現状打破なんかできない…東京オリンピックが延期になって総選挙がいつ行われるか見えない状況下で、ダラダラと「選挙に特化」した運動を続けていても飽きられるし、新型コロナウィルス流行の影響で、得意の街頭宣伝(記者会見や「れいわ祭り」など)も出来ない。「新選組」は危機にある⁉
 そこで「新選組」は、山本太郎氏の人脈で集めた様々な(予定)候補者などが、選挙以外の様々な活動を行うNPO集団・ボランティア団体になって発信し、支持者の居場所や活動場所ともなればよいのではないかと思う。そこで有機農業や再生可能エネルギー会社を運営するのもいいだろう。それぞれの候補者などが自分のやりたいこと、得意なことをやるので、組織は分散的で、かつ徹底的に民主主義的に運営される…当然、山本太郎氏は中心にはいない…そうゆう「面白い集団」を目指せば安富氏の言うところの「山本太郎というプラットフォームがあって、ようやく私のようなものも入れ物に入るわけです。そうやっていろんな人が、山本太郎が起こした波に乗って動き始めたら、それに乗ってまた誰かが動くということが起きたら、変革は始まりますよね」(p232)となるのだろう。

 別な言い方をすると、「山本太郎」に頼っている運動や「政党」ではダメですよ!ということだ。

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