もはや茶番劇場と化した大阪府議会
昨日の記事で
より厳しい経営環境にある事業者への支援について質問された吉村知事は、国がスピード感を持って対応しない、それは国会議員が事業者の立場…家賃を払わないとつぶれる…を味わっていないからだと責任転嫁したうえで、自らが提案する議員歳費の半減・削減を賞賛するという“自画自賛”答弁にすり替わっていた。
と書いたが、このあたりもう少し詳しく記録しておきたい。
質問した森和臣議員はかつて事業(組紐業だそうな)を営んでおり、事業者が家賃支払いに追われることは大変なことであるというようなことを述べながら、さらなる事業者に対する支援について吉村知事に質問した。それを受けて、国の方針や支援策の決定が遅と答弁しながら、国の決定が遅いのは、国会議員がこの事態になっても所得が保障されており、多くの事業主が抱えている、今月の家賃(テナント料等)を支払えないという苦しみを理解していないからだ、だから彼らの歳費を半減して少しでも「痛み」を理解してもらうとともに、財源にしよう!というふうにすり替えた…これを説明するに当たり、わざわざ各議員(国会議員のみならず、地方議員も)の歳費を半減させる説明パネルまで持ち出し、これまでの「原稿読みモード」とは明らかに違う、嬉々としたトーンで吉村知事がしゃべりだしたのである…これを見て傍聴していた私たち要請団は「自画自賛!」「議会がもはや“筋書き通り”演劇と化している!」「茶番劇だ!」とあきれ返ったわけだ。ついでに国会議員宿舎が国内の一等地にありながら、家賃をほとんど払わなくて良い、これも見直すべきだということも吉村知事は公言した。
なるほど、家賃・テナント料を支払わないといけない事業者の痛み、視線を「共有する」という名目で議員工費削減をブチ上げる…これはこれで今困っている事業者さんは留飲を下げ、支持をとりつけることは出来よう。だが議員歳費を半分にしたところで、出てくる財源は限られている。(国会議員一人当たり年間2,200万円、議員定数が衆参合わせて713人で計算して約156億円、その半分は78億円…アベノマスク全世帯配布は補正予算で233億円計上…アベノマスクすら配布できないのだ!)まして地方議員のうち地方の町村議員になると、普通の人が月収で得る金+αしか出ないところもあって、ただでさえ成り手がいない。そんなところを半減すれば、生業が余裕のある人とか、二世、三世の世襲議員しかなり手がいなくなる。議員宿舎なんか、会期中は夜遅く、更には徹夜審議にもなる中で、国会近くに議員の拠点(単なる宿舎ではない)を確保しておくことは必要なインフラ整備と同じであり、そんなところからカネをとっても、まったく意味はない。
そして橋下大阪府知事いらいの維新政治は、そうしたロジックを使いながら公務員を削減し、公務でやるべき仕事を次々民営化もしくは廃止してきた。二重行政を排するとして大阪府立公衆衛生研究所と、大阪市立環境科学研究所を統合し、独立行政法人化したのである。(大阪はもう行政・公務は絞り切ってしまったから、維新の「身を切る改革」のターゲットは「議員特権」ぐらいしか残っていない)これが大阪の「コロナ対策」を規定している。
そして、こんなデタラメ問答が議会でまかり通るのは、ひとえに議会内に“翼賛勢力”しかいないからだ。大阪府議会の定員は88名で、そのうち維新が49名、自民党と自民党系無所属が16人、公明党が15人…維新・自民・公明で80名を占めている。そして15名以上の会派でないと、主要な質問が出来ない「ルール」があるそうだ。自民党も公明党も、府政野党と呼ぶにはあまりにもお粗末…特に昨年の府知事・市長のW選挙で敗北して以降、維新に明確に対抗できる勢力ではなくなった。維新も自民も、“事業者”目線で家賃が払えるかどうかは感心を持つが、労働者民衆が住むための住居、それにかかわる家賃のことなんぞ考えない(維新の多くは地元で自民党下の組織をさらってきたものを基盤として出てきている)まさしく労働者民衆の利害を代表する議員団の登場が必要なのだ。
また吉村知事は「国の方針や支援策の決定」がない→だから大阪府独自では何もやらないと、責任を国になすりつけているが、かつての「革新自治体」をみられよ。国がなぁ~んにもやらないからこそ、自治体が独自に予算もつけて、福祉や環境問題等で先進的な政策を打ち出し、実行してきたのではないか?維新の連中がいう「政治のリーダーシップ」なんて嘘っぱちで、ただただ国のやることに従う(反動的なことだと国を先回りしてカッコいい言葉でぶち上げる)だけではないか!
しかし大阪に帰ってきてから3年半…ここまで維新政治によって大阪府政とかが劣化していたとは、改めてぞっとした。これを機に、いかに府政や市政を維新から取り戻していくか!という課題について、選挙も含めて真剣に考えないといかんなぁ~と思ったぞ。
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