技術屋さんのお話

なぜ「コンクリートの寿命は60年」なのか?

 先日、コンクリートの建物はそれなりに持つの中で、”「鉄筋コンクリート製の建物の寿命は、60年」ということになっている”と書いた。実はこの60年という数字、税法で決まっている法定耐用年数のこと。現在、鉄筋コンクリート製の建物の法定耐用年数は47年であるが、1998年に法律が改正されるまでは、60年であった。
 では、この60年という数字が、どこから出てきたのか?というと…

 コンクリートの「中性化」速度である。

 コンクリートはアルカリ性に保たれており、そのおかげで内部の鉄筋が錆びない。アルカリ性によって鉄筋表面に「不導体被膜」という、厚さ20~60オングルストームの薄い酸化膜ができる。これが鉄筋を保護している。
 ところが空気中の二酸化炭素により、コンクリートは表面からアルカリ性が「中和」されてゆく。具体的にはコンクリートの細孔に含まれる水溶液がアルカリ性を示しているのだが、空気中の二酸化炭素が溶け込むことにより、細孔溶液がアルカリ性から中性になる。これをコンクリートの中性化とよんでいる。

 コンクリートが中性化すると、鉄筋表面にある不導体被膜は破壊される。そこに水や酸素などの鉄筋劣化因子が侵入してくると、鉄筋が錆びてくる。鉄筋が錆びると体積が増え、膨張するので、その影響により鉄筋の外側のコンクリートが剥がれ落ちたりする。また鉄筋が完全に錆びてしまうと、鉄筋そのものが無くなってしまうわけだから、鉄筋コンクリート構造物としての機能を失うことになる。

 中性化はコンクリート表面から進んでゆく…年月が経つほど深い部分まで二酸化炭素が入り込むことになる…でもって、おおむね60年ぐらいたつと、中性化が標準的な鉄筋コンクリートにおいて、鉄筋が埋まっている深さ3㎝ぐらいのところまで進む…だからそこを「コンクリートの寿命」としたのである。

 もちろんコンクリートが中性化したからといって、直ちに鉄筋が錆び、コンクリートが剥がれ落ちたり、崩壊するということはない。中性化が鉄筋の位置に達したとしても、酸素や水分が供給されないと、鉄筋は錆びない。また全てのコンクリート構造物が、一律に60年経つと3㎝の深さまで中性化するわけでもない。作られたコンクリートの「品質」によりけりで、具体的には固くて緻密なコンクリートが出来ていれば、二酸化炭素や水などの劣化因子が侵入しにくくなるので、中性化速度も遅く、鉄筋が錆びるのも遅くなる。

 また先の記事でも触れたが、コンクリート表面に塗装を行い、二酸化炭素の進入を防ぐことで、中性化を遅らせることが出来る。塗装も、普通の塗料のようにコンクリート表面に塗膜を形成するものから、コンクリートの内部に浸透し、化学反応をおこしてコンクリート表面を緻密にするようなモノもある。後者のようなコンクリート保護材料は、含浸材ということもある。

 一旦中性化したコンクリートは、自然状態では元に戻ることはない。ただし、電気化学的な力を加えて、コンクリートにアルカリ性を再度付与することが可能である。コンクリート表面に、炭酸ナトリウム等の電解質溶液と陽極材を配置し、内部の鉄筋に電線をつないでマイナス側につないで5~50Vの電圧をかけ、1A/㎡の電流を1~2週間程度流すのだ。こうすると鉄筋から表面にかけてのコンクリートが再度アルカリ性になる。ただし工事にはそれなりの設備が必要になる。大坂城の天守閣は、1996年の改修工事でこの「再アルカリ化工法」が行われている。

とまぁ、こんな具合であるvirgo

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コンクリートの建物はそれなりに持つ

 

コンクリート工学 Vol.56 №4(2018年4月)のトピックスに、「梅小路機関車庫耐震補強」ってのがあった。梅小路機関車庫は、かつて「梅小路機関区」として蒸気機関車の動態保存・展示をしていおり、現在は京都鉄道博物館 の館内施設として使われている。機関車庫の建物は鉄筋コンクリート製で、1914年に建てられたということだから、今年で104年経つというわけだ。
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 写真は、2016年の夏に行って来た時のもの(^^)/

  一般的に「鉄筋コンクリート製の建物の寿命は、60年」ということになっているが、実際、きちんとつくられた鉄筋コンクリート構造物は、100年ぐらい平気で持つのである。
 ただ、コンクリート工学の記事タイトルにもあるよう、阪神・淡路大震災クラス、あるいは東日本大震災クラスの地震には耐えられない(建物が存続していたのは、用途が続いてきたとういう他、強い地震が来なかったからという理由もある)ので、鉄道博物館が開館する前に、耐震補強工事等を行ったということである。

 耐震補強を行うにあたっては、本建物が2004年12月に重要文化財建造物に指定されていること、建設当時の躯体そのものに価値があること、また将来において技術が進歩した時に適切な手段に置換し、補強前の状態に戻すこと等を考慮して、「当初部材」と「補強部材」が区別できるようにする、補強箇所は最小限にするという条件がついた。

 でもって、主に行われたのが内部に外付けのブレースを設置すること…
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 奥の機関車をおいてある所の手前に、灰色の鋼材が斜めに設置されたりしているでしょ…それがブレース。

 こうゆうのをあちこち設置したり、あるいは外側にも斜めの鋼材を配置したりして、補強をしているのである。

 その他、コンクリートの表面に「表面被覆工法」…早い話が、塗装して表面を保護することで、劣化因子(この場合は、二酸化炭素)がコンクリートに侵入することを防ぐ工事が行われている。
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 蒸気機関車の黒色と比べずとも、建物の表面が白くキレイなのは、このコンクリート塗装のおかげなのである。

 一応、この建物は1952~55年にかけて改修がなされ、今回も補強・補修がなされてはいるものの、鉄筋コンクリート構造は100年経っても健全に使用されているのである。

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避難する時、とっとと逃げろ!

 

守田敏也さん講演会 でのお話し…

 原子力災害に限らず、避難しなければならない時は、とっとと避難しなければならない…なぜか?

 避難を呼びかける人たちもまた、逃げなければならないからだ。

 災害の現場にとどまったり、あるいは入り込んだりして避難を呼びかけなければならない人たち、自治体職員や、地元の自治会、消防団の方々…
 誰かが避難せずとどまっていると、彼らは逃げることが出来ないのである。

 高齢者にありがちなのだが、自分はここに残りたい…いや、あんたは良くても、他の人が困る…私ら、あなたが避難しないと、避難できないのsign02

 ということで、避難しなければならない時は、とっとと避難しよう…それが人の命を救うことにつながる。

 ちなみに、福島第一原発事故においても、最後まで残った自治体職員や消防団の人が、いちばん被曝することになったということだ。

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原子力災害を考える…守田敏也さん講演

 17日日曜、枚方市民会館で行われた「原子力災害を考える~原発事故から”少しでも”身を守るために~」講演会に参加してきた。おなはしは、フリーライターの守田敏也さん。(ブログ「明日に向けて」を運営)
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 主催は「脱原発政策実現全国ネットワーク 関西ブロック」である。連絡先が「ストップ・ザ・もんじゅ」で、この団体は枚方に拠点があるようだ。
 守田さんはフリーライターの傍ら、兵庫県篠山市原子力災害対策委員会の委員を務めている。また京都「被爆2世3世の会」世話人でもある。
 本集会は資料代1000円、13:30開始…最初に主催者あいさつなんかがあってから、守田さんの講演である。まず放射能汚染をふり返るということで、放射線被曝、特に内部被曝と健康被害についてざっとお話があった…ここのところは福島第一原発の過酷事故後6年半が過ぎた現在でも重要な話あのであるが、今回は割愛しておく。
 肝心の「原子力災害」について語る前に、通常の「災害」「防災」についての話をされた…避難が必要になっても、人がなかなか避難しないことが良くある。災害心理学では災害時に避難を遅らせるものとして
①正常性バイアス→避難すべき事実を認めず事態は正常と考える
②同調性バイアス→とっさのときに周りの行動に自分を合わせる
③パニック過大評価バイアス→パニックを恐れて危険を伝えない
の3つの要因が挙げられている。これらのバイアスを解除するのに最も効果的なのが、避難訓練である。また、ハザードマップは信じてはイケナイ(ハザードマップの危険地域外が逃げ遅れる)、避難時は「いかなる状況においても最善を尽くせ」「率先避難者たれ」…自分が逃げ出すことは他の人の避難の促進につながる…その他、東日本大震災の津波被害や、広島土砂災害等の教訓もまじえてお話しが進む。
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 そこで原子力災害である。大事故時の防災は基本的に成り立たないため、唯一の防災は原子力を止めることであるが、原発がある限り、完璧は不可能と知りつつ対策を立てるしかない。可能な限り被害を少なくする減災の視点で、原子力災害に望むべきである…とのこと。で、出来る限り被曝を少なくすることが大切だから、事故時に大事なのは「とっとと逃げること」になる。
 放射能は目に見えず、においもしないので正常性バイアスがすぐにかかってしまう。だkら原発災害に対しても「避難訓練」や「事前学習」が一番有効なのであるが、そのための方策として「安定ヨウ素剤の事前配布」がある。
 安定ヨウ素剤は、甲状腺にたまりやすい放射性ヨウ素の蓄積をふせぐため、あらかじめ甲状腺をヨウ素で「満たしておく」ために飲むものである。そして、これを飲む(飲まなければいけない)時が、避難を開始する時なのだ(批難してから飲むものではない)…だから各戸に事前配布しておく、また配布時に薬の効用と副作用をしっかり把握していないと、イザと言う時薬なんぞ飲めないし、配る側もこれらをしっかり把握していないと服用の指示ができない…だから行政がしっかり説明しながら事前配布することで、原子力災害についてあらかじめ「事前学習」し、準備することが出来るのである。また、ヨウ素剤は1個7円程度なので、予算もあまりかからない(逆にモニタリングポストなんぞを整備しようとすると、1千万円とかかかるのである)
 行政をまきこんで「原子力災害に備える」ことは、反原発・脱原発を語るよりもたやすいこともメリットである。防災・減災というネタであれば、行政も取り組まざるを得ない。篠山市で「原子力災害対策委員会」が立ち上がったのは、首長(保守)が原子力災害について熱心に考えてくれたからでもある。会議に参加することで始めは消極的だった消防団の団長さんも、「先頭で取り組まんとあかんことや」と前向きになってくれたそうだ。

 篠山市での取り組みについて説明が終わった後、没落する原子力産業の現状や、世界の動きについてのお話しがあった。…核産業の未来はどんどん狭まり、輸出政策が頓挫しているから、日本政府は原発再稼働を焦っており、災害対策なしで再稼働を強行している。だから災害対策を下から広め、原発を問う世論を広げることが有効であるとのことであった。講演終了後15分休憩してから、質疑応答や主催者による今後の取り組み提案などがあり、終了したのは16時過ぎであった。

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辺野古の海に活断層

 辺野古の海に活断層があって、基地建設に支障をきたすのではないかというお話し…ルう旧新報WEBより。
辺野古新基地工事海域に活断層か 識者が危険性指摘
 名護市辺野古の新基地工事海域に「活断層」が存在する可能性があることが24日までに分かった。防衛庁(当時)が2000年に作成した「代替施設建設協議会」資料中の「海底断面図」で50メートル近く沈下した落ち込みがある場所が記されている。琉球大学名誉教授の加藤祐三氏(岩石学)は「落ち込みが比較的新しい時期にできていれば、海底に活断層が伸びている可能性がある」と指摘した。新基地予定地近くの陸上部には「辺野古断層」「楚久断層」という2本の断層が存在する。その断層の延長線が海底の急に深くなる谷や斜面部分につながっている。さらにその先に防衛庁が示した落ち込み部分が重なっている。活断層は過去に地震を起こした形跡があり、将来も地震を起こす可能性がある断層で、基地建設の場所に適するか疑われる。25日で辺野古での護岸工事着手から半年を迎えた。(中略)
 防衛局は2~4月、大型特殊船「ポセイドン」で工事海域での地質調査を実施したが、いまだ結果を公表していない。
 加藤氏は「活断層の可能性を否定するなら、国は早急に調査資料を公表し説明すべきだ」と話した。また、工事海域には、空洞が多く軟弱性が指摘される「琉球石灰岩」も分布している。加藤氏は「いかにしっかりした基礎工事をしても直下で活断層が動き地盤がずれれば、上にある施設は破壊される」と危険性を指摘した。
(仲井間郁江)


 実はこの話、22日に大阪で行われた奥間さんの講演でも話題になっていた。で、奥間さんはこの間、内地を行脚して講演されているので、話を聞いた人にとってはぴったりな記事である。

 では、基地建設現場に活断層はあるのか?

 ポセイドンの調査は、おそらく音波探査なのだろう…その地質調査で地層のずれ、断絶を確認することは可能であるが、それが活断層、十数万年前に活動し、近い将来動く可能性があるかどうか判断することはなかなか難しいのである。
 活断層であるかどうか?ということは、記事にあるような地球科学系の学者なんかが、過去の文献等の調査結果もふまえ、総合的に判断しているのが現状だ。
 ただ、陸上に活断層がある場合、それが海まで続いているだろうというのは、ある意味当然の判断である。海中の場合、地形が分からないこともあって、推定されている大概の活断層は陸上にある…というより、海岸で切れていることになっている…が、海底の地形から判断して、陸上の活断層が海中に続いていると判断するのは自然なことである。

 では、活断層があれば基地建設は出来ないのか?

 実は日本において、活断層のそばに「重要構造物」を作ってはイケナイという規定や法律はない…ただ阪神淡路大震災以降、活断層に対する意識や知見が上がった結果「なるべくは避けましょうね」という判断は働く。
 だが、「絶対に壊れてはイケナイ」原発と違い、土木構造物においてどこまで活断層を避けるかどうかは、その構造物の重要性(代替手段があるかどうか)や、対策の経済性に左右される…極端な話、活断層が動いてぶっ壊れても、また修理できれば、そして対策をするより、そちらの方が経済的であると判断されるならば、活断層近傍に構造物を構築することも有りである。

 おそれく防衛局は最終的にこのような「判断」をすべく、今調査結果を眺めて頭を抱えているというのが本音だろう。

 ただ奥間さんによれば、米軍基準では、米軍基地は活断層はNGなんだそうな。だからこのネタは、対米交渉等に使えそうだということらしい。

 とりあえず活断層ネタは、あまり重要なアイテムにはならず、参考資料として考えたほうが良い。

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生コン車は混合はしない…

 街を走る「生コン車」をご存じかと思う…コンクリートを運搬する「ドラム」がぐるぐる回っているヤツ…一般的には「コンクリートミキサー車」あるいは単に「ミキサー車」と呼ばれている。Wikiでは「トラックミキサー車」という名称で掲載されている。

 しかしながら…実際の生コン車は、混合すなわち「mixing」の機能はない…あれはコンクリートが固まらないよう、「攪拌」しているだけなのだ。よって「ミキサー車」と呼ぶことは「間違い」であるsign02

 業界では生コン車のことを「アジテーター」もしくは「アジ車」なんて言い方をする…「agitate」すなわち「ゆり動かす」「かき混ぜる」「攪拌する」「扇動する」「人心をかき乱す」なんて意味だ。そうそう「アジテーター」は「扇動者」と同じ英語であるhappy01

なんでこんなことを書いたか…

コンクリートとは、水、セメント、砂(細骨材)、砂利(粗骨材)を十分に「混合する」ことで得られる…コンクリートにとって混合は生命線なのである。比重の違う水と固体を十分混合するためには、それなりの装置が必要なのである。
混合するための装置が、コンクリートにとってミキサーなのである。

ところが、生コン車のドラムでは、混合することは出来ない…水、セメント、砂、砂利を直接、ドラムに入れて回転させても、コンクリートは出来ないのである。
だから、あれを「ミキサー」と呼ぶのは、技術屋さん的にいうと間違いなのである。

ちなみに、世の中には本当に車載式の「コンクリートミキサー」があるようだ。日本ではほとんど使われていないが、水、セメント、砂、砂利を計量して投入し、走っている間に混合してコンクリートを製造する「コンクリートミキサー車」というのが外国では使われていることがある。
また、「アジテーター」で混合することを全くしないわけではない。流動化剤と言って、コンクリートを後で軟らかくするための薬剤を添加する時や、繊維補強コンクリートなどは、「アジテーター」に直接薬剤や鋼・プラスチックの短繊維を投入し、高速攪拌することで「混合」するが、例外的なことである。

ではでは…virgo

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辺野古の海底 地盤脆弱だって

 なぜかしんぶん赤旗から…
辺野古の海底 地盤脆弱/新基地 本紙入手 米軍資料で判明
 政府は沖縄県名護市の辺野古崎、大浦湾での新基地建設に伴う護岸工事を強行しました。しかし、この地域の海底は脆弱(ぜいじゃく)な地盤で巨大建設物をつくる危険性が指摘されています。本紙はそれを裏付ける、同海域の急峻(きゅうしゅん)な地形や水深と、空洞の存在が懸念される琉球石灰岩によるサンゴ礁などの地質を示す米軍作成の「軍用地形図」を入手しました。 (山本眞直)
 軍用地形図は、米軍占領後の1949年に、軍事基地の本格的な建設に向けて作成した「基本地図」の一つとされています。琉球大学の目崎茂和元教授(理学博士)がその一部を所蔵していました。
 軍用地形図には、辺野古崎の南側、リーフと呼ばれる遠浅な沿岸部、北側の大浦湾の地形に沿って広がるサンゴ礁群と水深が詳細に示されています。
 また、埋め立て予定海域の地質の大半が、サンゴ礁や砂地です。
 大浦湾にせり出す新基地の滑走路先端部に当たる護岸部分は、水深が数メートルから二十数メートルの絶壁、その先には50メートル級の深海が広がっています。こういう場所に新基地の土台となる、最大で1基7400トンもの鉄筋コンクリートでできた巨大な箱のケーソンを千数百メートルにわたって設置しようとしているのです。
 あまりに危険
 沖縄県内の琉球石灰岩による軟弱地盤の難工事を経験している土木技術者、奥間政則さん(51)の話
 埋め立て海域は、サンゴ礁とその地下に琉球石灰岩の堆積という軟弱地盤であることが容易に想像できる。ここに巨大なケーソンを設置するにはあまりに危険で無謀だ。基礎構造の変更などの大規模な設計変更は避けられない。そうであれば翁長雄志県知事が表明している埋め立て承認の「撤回」の当然の理由となる。政府は新基地建設を断念すべきだ。


 辺野古の海域では、工事着手と称しているが、なぜかボーリング調査「も」行われていた。大型船「ポセイドン」がやっていたのは、どうも地質調査だったようだ。で、ちんたらちんたらボーリング調査が続けられている「理由」として、もれ聞こえてくるハナシが、実は地盤が悪かったのでは?ということであった。
 辺野古新基地建設に関わる埋立て工事において、重要なのは大浦湾の深さ30m近くある海底に、大型ケーソンを設置することだ。ケーソンは普通、堅固な岩盤の上に「直置き」する。で、あの辺は琉球石灰岩の「硬いヤツ」があるだろうから、その上に重量のあるケーソンを置いても大丈夫だろうということである。
 ところで記事に「空洞の存在が懸念される」とある…これは石灰岩地質のところで、鍾乳洞の卵みたいな空洞が存在することがあるのだ。こんなのが海底のごく浅いところにあれば、その地層はケーソンを支えることが出来ない。記事では「軟弱地盤」と書いてあるが、あまりこういったケースを「軟弱地盤」とは呼ばない。

 もしケーソンを支える地盤の下に空洞があった場合どうするか?
 空洞の位置や大きさにもよるが、一般的には、空洞を避けてケーソンの設置位置を変えるか、くい基礎を作るかだろう。空洞が小規模なものであれば、内部にコンクリートを流し込めばなんとかなるかも知れない。いづれにしても、金と手間がよけいにかかる。設計は確実に変更しないといけないだろう。

 いづれにしても、ホントは地質調査(ボーリング調査)を行ってから、より安全かつ経済的にするため、もう一度詳細設計をかけるべきだったのだ。詳細設計をかける金と手間を惜しむから、不具合が出た時にとりかえしのつかない「手戻り」が生じることになる。

 本当に海底地盤の浅いところに空洞があってケーソンが支えられない場合、設計をやり直すことになるから、その間確実に工事は止まる。また、海底にくい基礎を構築することは今回の埋立て工事では想定されていないので、工事内容の大幅な変更と、それによる「埋立て条件の見直し」すなわち承認された条件を変更する手続きが必要になる。環境アセスメントで示された条件も変わってくる…沖縄県側はいくらでも「承認撤回」「変更無承認」が出来るのだ。

 ま、そうゆうことである。

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軍学共同の研究を許すな!

 革共同再建協議会機関紙未来206号 に掲載されている論文「軍学共同へ走る安倍政権」軍事予算で大学の取り込み狙う(津田 文章)からの抜粋と、私の感想…

・日本の製造業はすでにアジア諸国に生産拠点を移し、国内産業は空洞化している。得意としていた半導体製造に関しても、価格競争力でアジア諸国に太刀打ちできなくなった。日本の新たな輸出産業は原発、武器しかなくなっているのが現状だ。
・昨年、防衛省は「安全保障技術研究促進制度」という競争的資金制度を作り、研究機関への研究委託という形で3億円の予算をつけた。指定した研究テーマにそって科学技術者を公募し、研究資金を提供する制度だ。(中略)東京新聞によれば、自民党の国防部会はこれを「100億円に増額せよ」と要請しているようだ。
・1966年、日本物理学会がおこなった半導体国際会議に米軍資金が使われていたことが問題になった。1967年10月、日本学術会議は2回目の声明を出した「近時、米国陸軍極東研究開発部局よりの半導体国際会議やその他の個別的研究者に対する研究費の援助等の諸問題を契機として、われわれはこの点に不覚思い致し、決意を新たにしなければならない情勢に直面している。…戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わないという決意を声明する。」・・・1967年の声明は、学園闘争の発端を切り開く、若き研究者のたたかいの中でつくられた。(山本義孝、小出昭一郎、水戸巌、槌田敦などのたたかいによって、1967年に日本物理学会は「今後内外を問わず、一切の軍隊からの援助、その他一切の協力関係を持たない」(決議3)を決定した。
・戦争中、科学者は特権階級として戦争の恩恵を最大限にうけていた。まず、戦場に行く必要はなかった。挙国一致体制のもとで、科学研究費は大幅に増額された。1950年に日本学術会議(学問・思想の自由保障委員会)が行ったアンケートでは「戦争中はいちばん研究の自由があった」という回答がいちばん多かったという。ここにあるのは「たとえ軍からの資金であっても、自分の好きな研究ができればよい」という思想だ。
・2004年、大学は研究法人となった。新自由主義政策が導入され、大学どうし、研究者どうしが競走にさらされている。財界に「役立つ」分野の研究者は資金をぜいたくに投入するが、それからもれた分野の研究者は資金に苦しんでいる。競争的資金の導入で研究者は自分で研究資金をつくるしかないのだ。研究者は「どんな金であっても研究資金がほしい」という状況に追いやられている。
・科学技術において、軍事利用と民生的利用とは区別できない。この<科学と技術の両義性(デュアルユース)>を軍事研究をする口実に持ち出してきている。「科学技術を発展させるためであれば、いかなる資金であってもよいのではないか」「使い方の問題だから科学者・技術者の責任ではない」という意見が研究者のなかには根強く存在している。しかし、軍からの資金でおこなわれる研究は、いかなる内容であれ軍事研究なのだ。軍事研究は内容で判断するのではなく、どこから資金がでているかを判断の基準とすべきだ。

 と、とりとめもなく引用した…特に最後の引用は重要だろう…インターネットに代表されるよう、もはや科学技術に「軍事」と「民生」の境は存在しない。だから「民生用」だと思って開発した科学技術が「軍事転用」される可能性は十分ある。ただ「軍事転用」するためには「軍」から資金を得た特別な研究者が行うのが普通だろう…だから、どこから金がでているのか?ということが大切なのだ。

 あとはオマケの話…大学時代「土木工学は英語でCivil enginiaring と呼ぶ…市民のための技術なんだ…後の工学はMIilitary enginiaringなんだ」とのたまわっていたヤツもいたが、豊臣秀吉の「水攻め」を見ても分かるように、土木工学もちゃんと戦争に応用できる。旧日本軍には鉄道連隊があったし(新京成電鉄 はその跡地をつないで旅客営業した鉄道である…よってやたら路線がぐにゃぐにゃしている)、工兵部隊がないと、歩兵部隊の侵攻ができない所もある。土木工学も軍事に応用できるのだ。学会の論文集にも、たまに「防衛大学校」から「爆発物に耐えられるコンクリート」などという研究論文が発表されている。

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自然エネルギー普及の愚…ドイツの事例

 「脱原発系」の人々の多くが「原発止めて自然エネルギーに」という意見を持っていて、集会や電力会社前でやる「金曜行動(「反原連」が首相官邸前で毎週金曜日に原発再稼働反対を訴えているのが全国に広まったもの…高松でも四電本社前でやってるよ!)」なんかでもそれを訴えている。私は以前から、「自然エネルギーは役に立たないクズ電力」で、「かえって資源を浪費する…そんなモン使うんだったら、その資源(化石燃料)でそのまま発電したほうがマシ」という真理をこのサイト から得ているので、心の中では冷笑しつつ、「脱原発」は共通できるのでケンカせずに一緒にやっている。
 で、今回は「2020年までの脱原発」を政策に掲げ、「自然エネルギー大国」となっている(だから「脱原発系」の人から賞賛される)ドイツの電気エネルギー事情について「ドイツリスク 夢見る政治が引き起こす混乱 三好範英 光文社新書」からピックアップしてみようと思う。
S20160412
 ドイツでの自然エネルギーの普及は、今日本でも行われている「固定価格買取り制度」のおかげである。この制度はドイツでは2000年に始まり、その後自然エネルギーの割合は急速に伸びる…特に2011年以降の伸びが顕著で、2010年に1億480万メガワット時(総発電量の16.6%)から、2014年には1億6060万メガワット時(同26.2%)に増加している。
 ドイツの自然エネルギーは風力発電が多く、次いでバイオマス、太陽光発電となっている。風力発電は陸上では立地の限界にきており、建設の比重は海上風力発電に移っている。北海やバルト海は遠浅で、陸地から40㎞離れたところでも、海底固定式の風力発電所が設置可能という事情もある。だが、陸上に同規模の発電所を設置する場合と比べコストが高く、建設費で4倍以上、維持費も2~3倍かかるそうだ。

  そんな「高い」コストの自然エネルギーが増えれば、固定買取り総額が増えて来る…2005年に45億ユーロだった買取り総額は、14年には200億ユーロになっている。それは電力料金に上乗せされ、消費者が負担することになる。2014年の電気料金は、年間3500キロワット時を消費する3人家族の標準世帯で、1019.88ユーロ(約14万円)となった…これは2000年における487.9ユーロの2倍強である。この間、発電、送電、販売のコスト増は約60%の上昇だが、買取り制度による賦課金や環境税など付随する料金が190%の上昇となっている。ただし、輸出競争力を確保するため、アルミ産業、鉄道などは賦課金を軽減されるなどの優遇を受けている。

 問題はここからだ…ドイツは日本と比べてまんべんなく人口や産業が立地しているイメージを私は持っていたが、実は北部は人口が少なく、南部に人口や産業が密集し、原発も南部に偏っている…逆に人口の多い南部では風力や太陽光発電の立地場所の余裕がないため、それらの発電所は北部に集中する…よってドイツでは現在、南北を結ぶ送電線の建設に余念がない…ドイツには大手送電会社が4社あるが、その4社がエネルギー転換決定を受けて2012年5月に新たな「送電線開発計画」を発表した。転換のためには既存の送電線4400㎞の改修、高圧送電線などを3800㎞新設する必要があるという…しかし高圧送電線建設計画は中部チューリンゲンの森を通す計画など全国の少なくとも4か所で、大規模な反対運動に遭遇して立往生している。

 自然エネルギーの発電量は天候によって左右される、中小規模の水力、火力発電所の発電量で調整したり、場合によっては風力発電所の稼働を止めるよう要請する。自然エネルギーが増えることにより、年々その調整が難しくなっているという。それだけでなく、過剰な電力供給により、電力取引市場におけるマイナスの電気料金、つまり、電気を料金を払って引き取ってもらうという珍現象まで起きる始末である。(これをネガティブ・プライスと呼ぶ)
 先ほども書いたように、調整のためにはバックアップ発電所…すなわち既存の水力・火力発電所が必要になる。ドイツ環境省によれば、自然エネルギーの普及に伴い、2020年までにおよそ原発8基分の1万メガワットの化石燃料発電所が必要だそうな。
 しかし「固定買取」によって自然エネルギーが優先的に買い取られる結果、売電できずに収入が減った既存発電所の事業者が次々と撤退しようとしている。かろうじて採算が成り立つのはドイツで自給可能な「褐炭発電所」のみである。2014年の発電量の首位を占めるのは褐炭発電で、総発電力の25.4%、ドイツの総発電量の43.2%が石炭発電である。「温室効果ガス(注…これもこのサイト で温暖化は産業活動によって発生した二酸化炭素が原因ではないことを私は知っているが)の観点から望ましいガス発電は、コスト面で折り合わず減少している(…なぜ効率の良い「ガスコンパウンド発電」が普及しないのだろうか?新規に投資する人間が「何らかの理由」でいないのであろう…)
 かくして、自然エネルギーの普及にもかかわらず、温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量は2012年、むしろ増加している。

 お分かりだろうか・・・これが「環境先進国」と言われるドイツの実態である。自然エネルギーを推進すればするほど、電気料金は高くなるばかりでなく、よけいな送電線を建設し、火力発電も建設しなければならない。

 日本は既存のシステムの改良で、なんとか「原発の無い」2年半を乗り切っている…脱原発は、別に自然エネルギーを普及させなくても先進工業国で「今、出来る」ことが証明されたわけだ…変に自然エネルギーを普及させることは、愚の骨頂であると断言しよう。

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コンクリートに石炭灰を混ぜる話…

 伊方原発3号機を再稼働させようとするかと思えば、1号機は廃炉にするという何かと忙しい四国電力であるが、土木方面ではこんな技術を持っている。
 ぶっちゃけた話、表題のとおり…石炭火力発電所(四電では阿南にある橘湾発電所 出力70万キロワット・・・コイツのお陰で原発なくても電気が足りていたわけ)から出る石炭灰、性格に言うと「フライアッシュ」をコンクリートに混ぜて使うノウハウである。

 フライアッシュはセメントのような粉末だから、セメントと置き換えて使う方法と、砂…特に最近は採取が限定されている海砂の代替品として使う方法がある。
 セメントと置き換えて使用する場合、セメントは水と反応して硬化するが、フライアッシュにはそのような性質はない…ただセメント中の水酸化カルシウムと反応して別の物質となり、コンクリートの組織を緻密化させる働きがある。この反応を「ポゾラン反応」と呼ぶ。セメントが少なくなる分、強度が出にくくなるが、湿潤養生をきちんとすれば、より緻密で長寿命のコンクリートとなる。
 砂と置き換えて使う場合でも、そのような反応は期待できる。なお、ポゾラン反応はフライアッシュ以外にも様々なシリカ(ケイ素)を含む物質で起こる…身近なところでは農作物の茎なんかを焼いた灰にもあるそうだ・・・また、コンクリートが使われ出したころ、「火山灰」にコンクリートを緻密化させる働きがあることが経験的に知られており、北海道、小樽港の防波堤に使用された「小樽築港100年コンクリート」は、文字通り、100年以上たった現在でも現役で使われている。

 で、このフライアッシュを使うノウハウを四電はよく研究しており、徳島の南のほうや高知の生コンプラントでは、フライアッシュを混入したコンクリートが「JIS認証」を受けて販売されているのだsign03

 砂…といっても、西日本ではほとんどが採石・砕砂を使うので、ある程度の柔らかさを持つコンクリートを得ようとすると、単位水量…1m3あたりに使用する水の量が多くなる…これで強度を上げようとすると、水セメント比を下げる、すなわちセメント量を増やさなければならない。
 ところがフライアッシュを使用すると、粒が細かくて丸いので、単位水量を減らすことが出来る。実際、同じ単位水量で採砂ばかりを使った場合と、フライアッシュを混ぜた場合とでは、フライアッシュを使った場合のほうが練りあがったコンクリートの状態はサラサラしたものになる。

 フライアッシュは石炭火力の廃棄物だが、こうゆうふうに有効利用することが出来るのだ。
 欠点は、付着したカーボン(石炭の燃えカス)の影響により、コンクリートに微細な空気(JISコンクリートでは、その量は4.5±1.5%と決められている)を連行するための、「AE剤」という薬が効きにくくなること…もちろんフライアッシュそのものもJIS A 6201で規格化されており、Ⅰ種からⅣ種までの種類に分類されている…当然、規格外の「石炭灰」はコンクリートに混ぜられることは無い。

以上、コンクリートと石炭灰のおはなしでしたvirgo
 

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